東京レストラン・ストーリー Vol.39

友人の結婚式で同級生に再会。2次会で盛り上がり、そのままふたりで抜け出し六本木で…

「城田さんは、今日は実家に泊まるの?僕は東京に戻る予定なんだ」

「そうなの?私も今日東京に帰るよ」

二宮くんが嬉しそうな表情になったのを、私は見逃さなかった。

「せっかくだし、二宮くん一緒に帰ろうよ」

ふたりで新幹線の予約サイトを開き、並びの席を取り直した。



18時。

他の同級生が3次会に参加するなか、私たちは新幹線に乗り込んだ。

「カンパーイ」

キオスクで買ったビールを飲み、ふたりだけの3次会が始まる。

二宮くんは、昔と変わらず朴訥な雰囲気で笑顔が可愛い。

さっきから仕事の話ばかりしているが、高級レストランやきらびやかな旅行の話をする男よりずっと結婚向きなのかもしれない。

― 昔はわからなかったけど、こういう人と結婚するのが一番幸せになれるのかも…。

「仙台から東京だとあっという間だね。城田さん、一杯飲んでいかない?」

東京駅に着く直前、二宮くんが誘ってきたので私は二つ返事でOKする。

「いいね。どこで飲む?」
「僕お店とか全然詳しくなくて。もしよかったら、城田さんが住んでいる六本木あたりで飲んでみたい。東京っぽいところに憧れがあって」

― 六本木に憧れるって…。なんだか可愛い。

私は西麻布にある『BAR GOSSIP』に彼を連れて行くことにした。最初は友人に連れて来られたバーだが、おしゃれなインテリアにオトナの雰囲気がいかにも港区っぽくてお気に入りの店だ。


4次会ということもあり、すっかりお互い打ち解けて恋愛の話になる。

「私ね、付き合っていた人がいたんだけど、1ヶ月前に別れたんだ。色々と理想を押し付けてくる感じがあって少し苦しかったの。アナウンサー系の清楚な服装でいてほしいとか、イメージに合わないからジャンクフードは食べないでとか…」

元彼の愚痴を話すんじゃなかった…と後悔した矢先、二宮くんは意外な反応を示す。

「城田さんを悲しませるなんて、ひどい男だね。僕だったら絶対にそんなことはしない。そんな男はやめておいて、もっと自由でいられる人と付き合ってほしいな。実は僕、高校の時ずっと城田さんのこといいなって思ってたんだ」

― え、これって、アプローチされている?

ときめきはないけど、同級生と付き合うって悪くないかも。

終電近くまでふたりで時間を過ごし、次の約束をして別れた。

この記事へのコメント

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No Name
二宮の奴やってくれたなぁ…
謎に感情移入してしまい亜紀がとてもかわいそうだと思った。
2024/11/25 05:2218返信1件
No Name
結婚前の火遊びだった? にはちょっと笑ってしまったけど正にその通りなのが辛いだろうね。 でもそんな火遊びする男は結婚後も夜勤だなんだで嘘ついて不倫するだろうから!
2024/11/25 05:3615返信1件
No Name
亜紀も、それなりにちやほやされ酸いも甘いも経験したなんて思ってるから、逆にやられちゃったんだよ。堕とすのは簡単だったと思うよ。
2024/11/25 06:056
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