年収4,000万男子の恋愛事情 Vol.6

彼の家に初めてお泊まりした29歳女。翌朝、男に言われた意外なセリフとは

「うん。覚えてるよ」

「だよね。翔馬くん疲れてたみたいけど私より酔っていなかったし、ちゃんと意識あったもんね」

昨夜、甘えてきた玲を体から引き剥がし、ベッドに寝かせた俺は偉いと思う。

普通の男ならそのまま流れに身を任せていただろう。でも、手を出さなかった。

だけど“玲のことを大事にしたかったから”という、格好つけた理由からではない。


確かに、玲は美人だし、媚びないところがクールでかっこよくて、食事会では1番印象がよかった。

でも、メンヘラがちな昨夜の玲の様子から、もし彼女と体の関係を持ってしまったら面倒なことになるだろうと容易に想像できた。

だから、理性を保ったのだ。

「もう〜玲ちゃんは覚えてないの?うちのベッドがシモンズの中でも最高級だって言ったら、翔馬くんちのベッドで寝たい!って聞かなかったんだよ。寝心地、どうだった?」

「面倒なことになりそうだから、夜の誘いを断った」という事実を伏せ、俺は、おちゃらけながら答える。

もちろん、玲とはマットレスの話なんてしていない。ただ、彼女のプライドを守ってあげたかったのだ。

「え…私そんなこと言ったの。嘘でしょ…」

「もう昨日のことはいいから、シャワー浴びておいで。そのままじゃ、さすがに帰れないでしょ?」


玲がバスルームに入り、シャワーを浴び始めたのを確認して、俺は外に出た。

「一緒に朝ご飯を食べに行こう」と玲に誘われないために、食事を先に調達しておこうと思ったのだ。

自宅周辺には、友達や仕事仲間がよくうろついている。彼らに俺と玲が一緒にいるところを見られたくない。

― 玲の顔はタイプなんだけどなぁ…。

もう少し俺が20代前半でガツガツしていた頃だったら、彼女みたいな子と付き合いたいと思っただろう。

東大卒で美人というだけで彼女にする価値は十分にあるし、家柄もいい。多少のメンヘラくらい構わないし、むしろ可愛いと思っていた時期もある。

でも、今は無理だ。

将来を見据えて付き合うなら、もう少し精神が安定している子の方がありがたい。

経営者という立場上会食が多いし、時々接待で夜の店にも行く。フリーで飲むより指名する方が楽ならそうするし、店の女の子からの営業メールも届く。

浮気じゃないのに、そういうのをいちいち責められたらたまったもんじゃない。結婚しても子どもを持っても、付き合いをゼロにすることはできないと断言できる。

玲は、そういう“経営者あるある”を許容できなさそうだ。

この記事へのコメント

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No Name
メンヘラちゃんは確かに避けた方がいいけれど、香澄もまた面倒臭いかと思う🤣
2024/10/18 05:2812
No Name
香澄本当にキモい。
二人して尾行かよ? 止めとけって!
ミナは家賃や生活費をヘルプしてもらってるんだよ。そういう関係、察しなはれ。
2024/10/18 07:366
No Name
ミナ、玲、香澄の3人の中で、香澄が一番年上という事実が未だに受け入れられない。
2024/10/18 07:263
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