東京に点在する、いくつものバー。
そこはお酒を楽しむ場にとどまらず、都会で目まぐるしい日々をすごす人々にとっての、止まり木のような場所だ。
どんなバーにも共通しているのは、そこには人々のドラマがあるということ。
カクテルの数ほどある喜怒哀楽のドラマを、グラスに満たしてお届けします──。
▶前回:田園調布雙葉出身で、親は開業医の28歳お嬢様。アパレル勤めの彼との付き合いを反対され…
Vol.10 <ブルームーン> 堂島仁美(30)の場合
ビールグラスを模した街灯が、仁美の影を揺らめかせる。
二重になり、薄まり、長く伸び、震え、くっきりと濃くなる。
変化する自分の影をこんなにまじまじと仁美が観察できるのは、もう夜も更けた23時すぎだから。
普段は人通りの多い恵比寿も、平日の深夜は意外に閑静になる。そん......
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この記事へのコメント
最後は龍一とお付き合いするきっかけになった因縁の「ブルームーン」を飲み干してお別れ。少し強くなれたのがよかった。