東京に点在する、いくつものバー。
そこはお酒を楽しむ場にとどまらず、都会で目まぐるしい日々をすごす人々にとっての、止まり木のような場所だ。
どんなバーにも共通しているのは、そこには人々のドラマがあるということ。
カクテルの数ほどある喜怒哀楽のドラマを、グラスに満たしてお届けします──。
▶前回:エアコンの設定温度でケンカに…。夏のお家デートで露呈した、29歳男の本性
Vol.9 <ゴッドファーザー> 堂島由紀(28)の場合
由紀がひどい頭痛に悩まされているのは、大型の台風が接近しているからだけではない。
総合病院の広い院長室にある革張りのデスクチェア。
そのデスクチェアに深々と身を沈め、みじろぎもせずにむっつりと座り込んでいる院長の眉間の皺のせいだ。
できることならそっとしておきたいが......
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この記事へのコメント
彼、九年も付き合って一度も将来の話を出さなかったのは何故だったんだっけ…
いい話だった。