2024.04.13
アオハルなんて甘すぎる Vol.11前回:サイコパスな元夫が強制してきた、一人息子の海外留学。28歳女が思わず口にしたコト
◆
「…あなたのやり方は…違うと思います……タケルくんが本当に何を望んでいるのかを、きちんと聞いてあげてください」
宝ちゃん!?という愛さんの今日一番の大きな声、そして、タケフミさんの強い視線を受けても止まれなかった。
「…タケルくんの気持ちはもちろんですけど、愛さんの気持ちもきちんと聞いてあげて欲しいんです」
元カレにフラれた時でさえ、はっきりと意見をぶつけることができなかった私が、今はどうしても言わなければという衝動に突き動かされている。
― あの2人みたいにうまくできなくても…。
この場に雄大さんや大輝くんがいたら、間違いなく愛さんを助けるだろう。不幸にもここにいるのは頼れるあの2人ではなく私だけど、祥吾を論破してくれた大輝くんのように…とまではいかなくても、言葉を失った愛さんの代わりに、今、私が言えることがある気がしたのだ。
「まずは今、タケルくんがどんな表情をしているのか、きちんと見てあげてください。親なら当然じゃないですか?こんな状況、部外者の私が見てもおかしいです」
「……宝ちゃん、もういいから」
「愛さん、いいわけないです。タケルくんも愛さんもそんなに辛そうな顔で…いい、なんてことは絶対ないです」
いつもの愛さんらしくない、なぜ黙っているんですか?という気持ちで私の語尾は強くなった。見つめる私に何かを答えようと愛さんの唇が動きかけたけれど、その言葉はタケフミさんに奪われた。
「お嬢さん、まずはあなたの名前を聞きましょうか」
名乗らなくていいという愛さんの言葉と、佐々木宝です、という私の自己紹介が重なった。えっ?と愛さんの方を見た瞬間、今日初めて声を上げて笑ったタケフミさんが言った。
「宝さん、か。その名前だけで、あなたのご両親がどんな人かわかるね」
同じようなことを、愛さんにも言われた。でも好意に満ちていた愛さんとは違って、今のタケフミさんの言葉が良い意味で使われていないことくらい私にもわかっていたけど。
「自分達のDNAを持って生まれてきた、ただそれだけで、その子を無条件に慈しむことができる平凡で幸せなご両親。世間からなんの使命も与えられず、期待もされていない能天気な中流階級。いや、もしかしたら中流以下かな?」
予想をはるかに超えた侮蔑的な表現に、怒りを覚えるよりも呆気にとられた私の手を、愛さんが、もういい、宝ちゃん行こう、と引っ張り、立ち上がらせようとした。
「愛、いいのか?今出て行けば、さっきの私の提案をお前がのんでくれたものと解釈して動くぞ」
......
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自分では良かれと思ってしたことが、相手を傷つけること、この日常に溢れていますよね。自分も気をつけなければと思いました…
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