2024.03.27
東京では毎月、何軒もの話題の店がオープンしている。その中でも、「東京カレンダー」が自信をもっておすすめする人気店がこちら。
京都の予約困難店が手がける居酒屋『銀座 呑小路やま岸』、最大2組のみの隠れ家フレンチ『UNE IMMERSION』、代々木上原の人気店をアップデートした大人の居酒屋『LANTERNE はなれ』、フランス人シェフが営むくつろぎのレストラン『OLINA』、六本木に誕生した肉のパビリオン『士士』、“呑める”ピッツェリア『PICICA PICICA PIZZA & PASTA』。
誰かに知られてしまう前に、いち早く訪れておきたい珠玉の6軒をご紹介しよう。
木の温もり感じるカウンターと、スタッフとの絶妙な距離感が心地良い
数多の名店がしのぎを削る京都に於いて、2015年創業と歴史は浅いにもかかわらず、いまやその名を全国に轟かせる懐石料理店『富小路 やま岸』。
料理のみならず茶道・華道・書道にも通じている店主・山岸隆博さんのもてなしの心に満たされると、予約は困難ながら称賛の声が後を絶たない。
2022年、上質な味わいを肩ひじ張らずに楽しめる居酒屋スタイルの『呑小路やま岸』を京都にオープンすると、こちらもたちまち評判に。
そして2023年、銀座でもその『呑小路やま岸』を体感できることに!
ラグジュアリーな食材が生み出す、最上のつまみに心躍る
京都と変わらぬ味を提供すべく、野菜や海鮮類を“京の台所”と呼ばれる錦市場から仕入れ、また料理に使う水も『富小路 やま岸』の敷地内にある軟水の井戸水を運んでくるなど、味を守るための徹底した取り組みに脱帽する。
本店の名物でもある「雲丹ドッグ」(時価)は、贅沢感たっぷりのビジュアルだが、実はお品書きにはない裏メニュー。
ただ、その存在を知る人が多い名物だけに要望の声多数。
黄金色に輝くからすみに歓喜
惜しみなくかけられたからすみに陶然となる「からすみ蕎麦」2,500円。“追いからすみ”も快く受け付けてくれる。
〆にと思ってオーダーしても、お酒が進んでしまうこと必至。
まずはここから……の「おまかせ」4品から始めるべし
冬の京都のごちそうともいうべき「甘鯛のかぶら蒸し」。
ふっくらとした甘鯛とすりおろしのかぶと、くずあんが融合して優しい味わいに。
甘やかな白味噌に柔らかい酸味を加えた酢味噌を使った「赤貝と鉄皮(ふぐ皮)のぬた和え」。
「春野菜のお椀」には、こごみ、タラの芽、なたね、せり、オレンジ白菜、金時にんじんなど、錦市場から届く旬の野菜をふんだんに。
「本日のお造り」は左より塩竈で揚がった本まぐろ、青森の天然ヒラメ、北海道のバフンウニ。厳選の3点盛りだ。
内容は日によって異なるが、まず4品の「おまかせ」(10,000円)をいただいてから、アラカルトを追加注文するのがこちらのスタイル。
アクセスしやすい銀座、しかもラストオーダーは深夜1時と、使い勝手も上々。
深い時間にも威力を発揮する最強の切り札が誕生した。
京都でその名を轟かせる『富小路 やま岸』とは?
京都・富小路に本店を構え、現在は京都市内にグループ店を6軒展開。本店はいまや超予約困難店に。
昨年、『銀座 呑小路やま岸』と『富小路 やま岸 麻布台ヒルズ』を立て続けに開店した。
■店舗概要
店名:銀座 呑小路やま岸
住所:中央区銀座7-3-6 銀座髙木ビル 10F
TEL:03-5537-3510
営業時間:18:00~(L.O.25:00)
定休日:土曜、日曜
席数:カウンター13席、個室1(4席)
見慣れない単語から成る店名『UNE IMMERSION』は、フランス語で「没入」という意味を持つ。
これには、オーナーシェフの早田六月さんの「料理に没頭したい」という真摯な思いが込められている。
料理人の家系に生まれた早田さんは、ごく自然に料理の世界へ。伝統的なフランス料理を経験したのちに入った『ル・スプートニク』で衝撃を受けたという。
「ベーシックな技法や組み合わせを踏まえた上で、それらから解き放たれ軽やかに表現する高橋雄二郎シェフの料理に驚きました」
東京を風靡した“港区の薔薇”は、令和の渋谷区で純白に進化を遂げる
前菜の「バラ」には、高橋シェフの代名詞である、赤いバラの一品への敬意がこもる。
その後、華やかなスタイルが人気の『ラール・エ・ラ・マニエール』のシェフを経て、晴れてオープンした自身の店では「趣向は凝らしていますが、お客様には難解だと感じさせない、シンプルに“美味しい!”と思ってもらえる料理を作りたい」と意気込む。
ひと皿ごとに、味わう者を没入させるコースに感嘆する
「シャルキュトリー盛り合わせ」は、ビーツを添えたパテ・ド・カンパーニュ、コーヒーのサブレで挟んだリエット、レンズ豆の煮込みを敷いたコンフィなど、細やかなプレゼンテーションが印象に残るひと皿。
「小鴨のロースト」には千葉産の小鴨を使用。フランス食材にはこだわらず、日本のものも積極的に使用。
「オナガダイのポワレ」はヴェルモットを使ったソースと。野菜は愛媛と長野の産直品。
すべてコース(13,200円)の一例。
駅から歩くその時間すらも楽しくなるような、期待の新星だ。
■店舗概要
店名:UNE IMMERSION
住所:渋谷区本町1-28-8 DAIM 1F
TEL:03-5843-5567
営業時間:ランチ 12:00一斉スタート
ディナー 18:00~(L.O.20:00)
定休日:不定休
席数:テーブル6席 ※要予約
石畳に誘われた先にあるのは、大人が憩うコの字カウンター
今や代々木上原きっての人気居酒屋となった『LANTERNE』。
池尻の2号店も高い支持を得ている中、目の肥えた大人のためにグレードアップした“第3のLANTERNE”・『LANTERNE はなれ』を本店からほど近い東北沢に開いた。
オーナーの丸山智博さんは、約50年間にわたりおでんの名店として名を馳せた『おかめ』だった場所を2021年に引き継ぎ、その趣を残してしゃぶしゃぶ店『ごらく』を営んでいたが、この度、密やかな居酒屋へとさらに生まれ変わらせた。
丸山さん曰く「ここはLANTERNEのお兄さん」。
『おかめ』時代から継承されたカウンターで味わえるのは、唐揚げやもつ煮込みといった酒場の定番に各国の食文化をヒントにひとひねりを加えた、大人向けの居酒屋ならではの品々。
「鶏のねぎま揚げ すだち」(950円)は、『LANTERNE』名物である唐揚げの“はなれver.”。
フランス料理の「ガランティーヌ」に着想を得て、ねぎを巻いた鶏もも肉を使用。
〆には、旬の食材を使った土鍋ご飯も楽しめる。
また酒も、焼酎や日本酒を定番にクラフトジン、ハードサイダーまで幅広くラインナップ。
ふらりと立ち寄りたい粋な酒場がまた増えた。
■店舗概要
店名:LANTERNE はなれ
住所:渋谷区上原3-25-9
TEL:03-6416-8380
営業時間:17:00~(フード L.O.22:00)
定休日:水曜
席数:カウンター14席、テーブル10席
店は、東麻布の住宅街に立つビルの上に。エレベーターを降りてダイニングに歩みを進めると、どこか伸びやかで心地良い空気感に包まれる……。
今年2月にオープンした『OLINA』は、フランス人シェフのオリヴィエ・ガルシアさんとパートナーの髙遠菜都子さんによる、コージーなレストランだ。
自然の中で育まれた素材の魅力をスマート、かつ雄弁に伝える
オリヴィエさんはオーストラリアやスウェーデン、フランスのミシュランの一ツ星店で料理人としての経験を積み、パリのガストロノミックなレストラン『Tracé』のスーシェフ、ワインバー『Nellu』のシェフを務めた人物。
そして菜都子さんは、スウェーデンの「Acne Studios」のデザイナーを務めるなど、ヨーロッパのファッション業界で活躍したキャリアの持ち主。
店のインテリアやイメージづくりに、そのセンスを発揮している。
素材への敬愛とモダンなエスプリ漂う品々に魅せられる
信頼を置く生産者から届く素材を慈しみ、自由な感性から紡ぎ出す料理には、シンプルな中にもはっとする新しさが。
優しい曲線を描く器にインスピレーションを得た「大根 - ヤリイカ - 生ハムの出汁」は、『タケイファーム』の大根とヤリイカに、いりこ出汁や生ハムの出汁、イカのオイルなどを合わせて。
千葉の養豚場『惣左衛門』が扱う特別な豚肉を使う「柏幻霜ポーク - 赤海老 ‒ 菊芋」。
赤エビと合わせ、山と海の素材をひと皿に盛り込む。
「蕪のタルトタタン」はバターと砂糖、醤油でローストしたかぶに、かぶの葉入りのサブレとかぶの茎のクネルを乗せた、かぶずくめの一品。
日本の食卓に欠かせない素材が主役の「お米のデザート」。『露﨑味噌・糀店』の甘酒で煮た米や甘酒のヴェール、米で作るメキシコの飲料「オルチャータ」も使用。
料理は、全11品のコース「Menu Immersion」(17,600円)の一例。
中川幹世さんの粉引の器や、一つひとつ異なる表情を見せる奥田誠二さんの信楽焼、フォルムと手触りに惚れ込んだという有田焼『やま平窯』のプレートなど、ふたりが実際に触れてひとつずつ集めた器が料理の魅力を一層高める。
さらなる進化の予感に心躍る。
新しき食体験を是非
■店舗概要
店名:OLINA
住所:港区東麻布3-6-11 THE CITY麻布十番EAST 5F
TEL:03-6277-6789
営業時間:【火~金】18:00~(L.O.20:30)
【土】ランチ 12:00~(L.O.13:00)
ディナー 18:00~(L.O.20:30)
定休日:日曜、月曜
席数:テーブル26席
港区きっての不夜城・六本木に忽然と現れた、新たな肉の殿堂
焼肉、しゃぶしゃぶ、カツサンド……などと、いまやメニューが出尽くした感のある肉業態。
ハイエンドな肉料理を提供する店が飽和状態の東京に「真打ち登場!」とでもいいたい大型ルーキーが意気揚々と現れた。
六本木交差点にほど近い、夜に賑わう一角にオープンした『士士』は、肉に一家言のあるエキスパートたちが自らの理想の肉料理を追求して作り上げた新店だ。
贅沢な肉料理が怒涛のように押し寄せる夜に歓喜する
「焼肉」を主軸に人気の肉料理はなんでもござれ、というスタンスだが、唯一無二の品々も魅力。
上質なホルモンをニンニクや醤油を効かせたかつおだしで煮込むおでんや、常道のサーロインではなく食感に特徴のある部位を使うしゃぶしゃぶなど、素材を熟知しているからこそ実現できるものぞろいだ。
写真のたん昆布締め巻きとミスジ・ツラミ、3部位を食べ比べられる「スジしゃぶ」。
鹿児島産の鰹節と北海道産の利尻昆布から取った風味豊かな出汁で味わう。
「神戸牛サーロイン握り」はコースの1品目に登場。
いずれも「士士」コース(24,300円)より。
黒トリュフをふんだんに削りかけた「士士牛」(6,050円/仕入れにより変動)は、某有名牛丼チェーン店オマージュのオリジナル丼で。
肉は、日本屈指の但馬牛の目利きと謳われる神戸『扇矢精肉店』が厳選した最高の但馬牛を中心に、良質な和牛をセレクト。
圧倒的なクオリティーの肉にオリジナリティーが加わり、鬼に金棒!
六本木らしい圧巻のラインナップ
■店舗概要
店名:士士
住所:港区六本木3-8-15 瀬里奈ヴィレッジ 1F
TEL:03-3405-4429
営業時間:17:30~(L.O.22:30)
定休日:日曜、祝日
席数:個室7(4席×5、6席×2)
全国各地の生産者から届く旬の野菜を使ったスパゲティを作り続けて、1,000種類のレシピを誇り、元気なスタッフのサービスも心地良いカジュアルイタリアン『KNOCK CUCINA BUONA ITALIANA』。
今年1月にグループ初の、ピザを主役に据えた新店『PICICA PICICA PIZZA & PASTA』をオープンした。
これぞ、酒が進むピザ
といっても、もちろん単なるピザレストランではなく、テーマは「呑めるピザ」!
粉の配合や加水率を研究し、モチモチしているのに食後感が軽い生地を開発。
そしてワインによく合うトッピングの組み合わせを追求することで、鰯×ガーリックバター、牛肉×ハラペーニョなどここにしかないピザが誕生した。
ワインが進む“ピザ前”の充実に、欲望を解き放つ夜が訪れる
さらには“ピザ前”、すなわち前菜やサイドメニューも充実。
「芝エビのセモリナフライとアイオリライムシャワー」(1,600円)は、食感良く揚がった芝エビをアイオリソースとライムの香りで食す一品。
「八ヶ岳の湧水サーモンタルタルとホースラディッシュ」(1,600円)は、八ヶ岳の湧き水で育ったクリーンな味わいのニジマスに西洋わさびの風味を添えて。
ほぼ全員からご注文いただく“ボンバ”がオススメ!
ピザ生地だけを風船のように焼き上げたスペシャリテの“ボンバ・ブレッド”と、魚介類や生ハムを一緒に味わってから、〆にピザが正しい楽しみ方だ。
ひとり1枚ぺろりといけるサイズ感も、気が利いている。
■店舗概要
店名:PICICA PICICA PIZZA & PASTA
住所:渋谷区恵比寿1-18-14
TEL:080-3517-1086
営業時間:ランチ 11:30~(L.O.14:00)
ディナー 17:30~23:00
定休日:水曜
席数:カウンター9席、テーブル30席、バーカウンター2席、テラス10席
※現金使用不可
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