散歩のついでに行く? 東京散歩ごはん Vol.7

dining
築地

旨い天ぷらのために。最良の素材を求めて歩き回る日々

上段.文字通り足で探した数軒の仲卸の元へ毎朝、向かう清水氏。勝手知ったる足取りはスムーズでスピーディ。「普段はもっと早足ですよ」

下段.レモン、大根、百合根のほか、ブロッコリーなども栽培している。「ウチで使うのはこれからならアスパラ、夏はトウモロコシです」

セイジュ

清壽

契約農家の畑と信頼する
仲卸のところへ足を運ぶ

「ほら、どこか柚子のような優しい香りと酸味でしょう? 日本の土で育ったレモンだからですかね」
 
美しく見せるためのワックスも、もちろん使われていない。

畑に入ることはそれほど多くないというが、収穫された野菜をピックアップしてから店へと向かう。これは清水氏が、毎日欠かさず続けてきた日課だ。

「あ、山椒の花が膨らんできてますね。来週には使える。いつもは赤出汁の浮身として使うんですけど、今回はどうしよう?」

この日は、下ろし用の大根、「漬物に」と考えた菜の花のほか、揚げるために百合根も収穫。元気な野菜を前に清水氏も嬉しそうだ。
「天ぷらってすべて下拵えをするわけじゃないですから。いかに良い素材を仕入れて丁寧に揚げるかが勝負なんですよ」

清水氏を歩かせているのはその信念。良い素材のためなら労を惜しまず歩く、歩く──。

毎朝、必ず顔を出す築地でも海老ならココ、鮑ならココ、と信頼する仲卸のところをビックリするぐらいのスピードで歩いて回る。

「やっと自分自身で納得のいく仲買さんたちと付き合えるようになってきました。どこも独立してから場内を歩いて探し出した仲買さんたち。目が確かなのはもちろんですが、臨機応変に対応してくれるという点に感謝しています」

師匠と同じ仲卸からは仕入れないと決めて、知らない業者から試しに買って失敗したこともあった。

「場内巡りは苦しみでもあり、楽しみでもあります」

そうした試行錯誤を経て今、清水氏が実感しているのは仲卸と築いた信頼関係。同じ価値観を共有し、己の天ぷらを認めてくれる彼らは言わば、同志だ。

「天然モノって良いときもあれば、良くないときもある。肝心なのはブランドでなく、素材の質だと思います」

そうした思いを理解する仲卸がいて、さらに、その天ぷらを愛する客がいる。『清壽』の魅力の陰に、人知れず“歩く”清水氏の努力が潜んでいる。

右.道を究めんと努力する清水良晃氏 左.カウンターのみで端正な店内

右.美しい熊本産車海老。甘みをギュッと閉じ込めた揚げ具合が絶品 左.エゾ鮑などを使うこともあるが、この日仕入れたのはマダカ。夏によく揚げる素材のひとつ

右.レモンと大根は契約農家から仕入れた素材。大根は下ろして甘さが際立つ青首大根。レモンはリスボンという品種 左.ホクホクの食感が旨い百合根のかき揚げ


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