オトナの5分読書 Vol.13

脳科学者・中野信子から学ぶ、“運のいい人”になるために今日からできること

4. 運のいい人はプラスの自己イメージをもつ


何か課題を与えられたとき、試験に挑戦するとき、スポーツの試合に出るときなどにプラスの自己イメージをもつと、結果によい影響を与えることがわかっています

プラスのイメージに特別な根拠はいりません。根拠のない自信があればいいのです。そのほうが、プロジェクトが成功する確率が高まります。

このことを証明する実験が、イギリスで行われたメンタルローテーションタスクの実験です。

これは、ひとつの図形が示され、それと同じ形のものを羅列された5、6個の図形の中から選ぶというもの。羅列された図形は回転して示されているために、ひと目で同じ図形を見つけるのは至難の業です。

一般に男性のほうが、女性よりも速くしかも正確に答えを出せる、とされています。

実験では、メンタルローテンションタスクの前に簡単なアンケートを実施します。


このアンケートが実験の肝となります。

アンケートで性別の質問をされた場合、女子学生の正答率は男子学生の64%でした。一方、アンケートで自分の所属大学を質問した場合、正答率は男子学生の87%まで上がったのです。

被験者の多くは有名校のエリート学生。アンケートで所属大学を答えることで、私は有名大学のエリート学生だというプラスの自己イメージがわき、それがテストによい影響を与えたのです。

このように、プラスの自己イメージはパフォーマンスに直接影響を与えます

何かに取り組むとき、何かに挑戦するときには、マイナスの自己イメージはなるべく排除する努力をして、できるだけプラスの自己イメージをもつようにするとよいでしょう。

5. 本書のココがすごい!


今回紹介した、『新版 科学がつきとめた「運のいい人」』中野信子著(サンマーク出版)のすごいところは下記に集約される。

①「運」という一見、科学とは無縁に思えるものを、脳科学的視点から分析して解説しているところが目から鱗が落ちる。

②「運のいい人」になるためにすることが手軽なので、今すぐ取り入れられそう。

【著者】 中野信子

東京都生まれ。脳科学者、医学博士。東日本国際大学特任教授、森美術館理事。

2008年東京大学大学院医学系研究科脳神経医学専攻博士課程修了。脳や心理学をテーマに研究や執筆の活動を精力的に行う。

著書に『エレガントな毒の吐き方 脳科学と京都人に学ぶ「言いにくいことを賢く伝える」技術』(日経BP)、『脳の闇』(新潮新書)、『サイコパス』(文春新書)、『世界の「頭のいい人」がやっていることを1冊にまとめてみた』(アスコム)、『毒親』(ポプラ新書)、『フェイク』(小学館新書)など。


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