男と女の東京ミステリー Vol.21

職場の後輩男子に惚れ、交際までこぎつけた28歳女。だが1ヶ月後、彼の態度が豹変して…

人の心は単純ではない。

たとえ友情や恋愛感情によって結ばれている相手でも、時に意見は食い違い、衝突が起きる。

軋轢や確執のなかで、感情は歪められ、別の形を成していく――。

これは、複雑怪奇な人間心理が生み出した、ミステリアスな物語。

▶前回:「怪しい…」広告代理店勤務・27歳の彼の浮気疑惑。真相を知るべく女が取った行動とは?


力の源【前編】


「葉山くん。また新規で契約取ってきたんだって?最近すごいね」

大手製薬会社でMRを務める岡村茉優は、ルート営業から戻ってきた葉山に声をかけた。

葉山は、入社5年目の茉優から見て、ひとつ年下の後輩だ。

彼は、日本橋にある支社内でも、特に営業成績をグングン伸ばしている。その奮闘ぶりは、常々うわさになっていた。

「おお、葉山。最近すごく気合入ってるみたいじゃないか」

近くにいた先輩社員の西島が反応する。

西島は、葉山が新入社員時代に研修担当をしていた。だからなおさら、成長を喜んでいるようだ。

「いやあ。今の俺には、仕事しかありませんから」

葉山の言葉に、茉優は感心しつつも意外性をおぼえた。

― 葉山くんって、そんながむしゃらなタイプだったっけ…?

以前までの葉山は、取引先の医療機関をのらりくらりと回りながら、医師たちと良好な関係を築き、要領よく仕事をこなすタイプだったはず…。

「お前。最近、なんかあったのか?」

西島がやや心配そうな口調で尋ねる。

「実は、2週間前に彼女と別れちゃって…」

そういえば、と茉優は思い出す。

「半年前ぐらいに、彼女ができたって浮かれてたよね?」

「そうなんです。でも、いろいろあって…。彼女は本当に良くしてくれたんですけど、俺が自分勝手で、優しくしてあげられませんでした」

葉山が反省の弁を口にする。

茉優は、なんだか人ごとではないように思えてきた。

茉優もまた、1ヶ月ほど前に、2年付き合っていた彼氏と別れていたのだ。

当時はただ落ち込むだけで、仕事に対する意欲も湧かず、無気力な日々を過ごしていた。

1ヶ月近く経過して精神的に落ち着きはしたものの、思い出しては気が滅入ることもある。

ゆえに、悲しみに暮れるどころか奮起している葉山に感心の気持ちが湧いた。

この記事へのコメント

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No Name
この連載はいつもダメ人間の話でミステリー要素全然無いよね。どうせ葉山も本当は社会不適格者とかなんでしょう。元カノに愛想つかされたのもそれが理由とか。
2023/12/07 05:2128
No Name
実在するレストラン名を挙げてリンクも付けてるなら、もう少し丁寧にオーダーした料理やお酒を書いてくれると嬉しいですね。 せっかくグルメ雑誌の小説なんだし。 今日なんてビール片手に肉料理としか書いてなくて残念。
2023/12/07 05:2728
No Name
彼女がいたら仕事ができない、別れたら仕事に身が入る…もしかしてそれをミステリーに仕上げるのか?笑
2023/12/07 05:5427返信2件
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