SPECIAL TALK Vol.108

~ピアノや音楽をもっと自由に、多くの人が慣習にとらわれず楽しんでほしい~

金丸恭文氏 フューチャー株式会社 代表取締役会長兼社長

大阪府生まれ、鹿児島県育ち。1989年起業、代表取締役就任。


自分が音楽を楽しむことでその楽しさを伝えたい


金丸:今年放送されたテレビ番組では、パリでストリートピアノを弾いていましたよね。

ハラミちゃん:めちゃくちゃ楽しかったです!日本って、ストリートピアノでさえ発表会みたいなんですよ。弾きたい人が楽譜を持って並んでいて、5分演奏すると係員の人に肩をたたかれる。曲の途中でも、そこで強制終了。

金丸:いかにも日本らしい。フランスは違ったでしょう?

ハラミちゃん:カオスでした!まず日本みたいに静かに聴きません。踊り出す人やピアノをたたく人がいて。私が弾いているのに、後ろから一緒に弾き始める人も。それがすごく楽しくて、「なんて自由なんだろう」と感動しました。

金丸:ほんとに自由ですね(笑)

ハラミちゃん:予定調和じゃないし、いろんな出会いがありましたね。フランスのミュージシャンに日本のルールを話したら「クレイジーだね」って。

金丸:もっともな感想です。

ハラミちゃん:一方で、日本のほうがいいと思うこともありました。ストリートでピアノを弾く時、私は周りからリクエストをもらいます。そして、ただ曲を挙げてもらうだけじゃなくて、「結婚式で流した曲なんです」とか、「亡くなった母が好きだったんです」と教えてもらうことで生まれる表現があるんです。

金丸:それもまた出会いですね。

ハラミちゃん:自分が日本人だというのはあるけれど、日本の曲のほうがより繊細な感情を表現できます。そのぶんこちらもきめ細かく寄り添えると感じました。

金丸:そんなハラミちゃんの表現を、もっとたくさんの人に聴いて、感じてほしいです。

ハラミちゃん:私のライブは照明が派手だし、お客さんはペンライトを振って音楽を楽しみます。ピアニストのコンサートとしてはなかなか珍しいと思います。

金丸:そういう楽しみ方が、クラシックに逆輸入されたら面白いですね。

ハラミちゃん:はい。私のライブのお客さんはお子様からつえをつかれたご年配の方まで、まさに老若男女です。3世代でいらっしゃる方も多くて、米津玄師さんの『パプリカ』を弾いた後に『天城越え』を弾くことも。おばあちゃんがYOASOBIさんの曲をポカンと聴いた後、ちっちゃい子が沢田研二さんの曲をポカンと聴いているみたいな(笑)。

金丸:カオスですね(笑)。だけど、音楽を純粋に楽しめそうです。

ハラミちゃん:そうだとうれしいし、ピアノをもっと身近に感じてもらえたら最高です。私はチャイルドシートにじっと座っていられないくらい、昔から縛られるのが嫌いで。

金丸:それでよくクラシックピアノを続けられましたね(笑)。

ハラミちゃん:本当に(笑)。でも、先生にいつも「顔で弾くな」と怒られていました。顔で表現せず、音にもっと向き合えと。だけど「なんでこんなに楽しいのに、笑顔で弾いちゃダメなの?」「なんで体を動かしちゃダメなの?」っていう違和感がずっとあって。

金丸:今のハラミちゃんを見ていると、相当なストレスだったでしょう(笑)。

ハラミちゃん:私は楽しく弾くので、聴く人にも楽しく聴いてほしいですね。そしてピアノに興味を持ったら、ぜひ弾いてみてほしい。実は五線譜が読めなくても、カタカナさえ読めれば弾けるような「初心者でも弾けるハラミちゃん監修楽譜」を開発して、今年、楽譜集を出版しました。右手だけで弾けるようなアレンジや、両手で演奏しやすい曲もあります。とにかく、ピアノを楽しく弾けるように工夫しました。

金丸:鍵が光るキーボードみたいな感じですかね?

ハラミちゃん:そうですね。たとえ指1本でも、自分が知っている曲が弾けたら楽しいじゃないですか。

金丸:ハラミちゃんのキーワードは「楽しさ」ですね。私も日本人はもっと楽しさに貪欲であったほうがいいと思います。

ハラミちゃん:精一杯楽しみながら生きて、死ぬ間際に「すごく楽しかったな」と思える人生がいいです。

金丸:単純にピアノを聴かせるだけでなく、大人から子どもまでたくさんの人たちに音楽の楽しみを感じてもらう。これからハラミちゃんは、ものすごい量の笑顔を生み出す予感がします。今日はお忙しいところ、本当にありがとうございました。

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