アイビー・リーグも夢じゃない。話題の『国際バカロレア』の教育、ここがスゴイ！

DP取得のメリット①：大学の合格率が高くなる

国際バカロレア機構の情報によると、アメリカの大学合格者を分析した結果、DPで学んだ生徒のほうが、他のカリキュラムで学んだ生徒より合格率が高いことがわかったそうだ。

すなわち、大学の試験官が国際バカロレアのDPを高く評価している傾向がわかる。

DP取得のメリット②：チャンスが増える

DP修了生は、DPの課程を通して課外活動、ボランティアなどを行っているので、学業以外にも社会活動にも問題意識を持っている人が多いといわれている。

そのため、大学進学後に奨学金を取得するチャンスやインターンに選ばれるチャンスに恵まれている。

また、高校時代に取得したDPの科目が、大学の教養課程の履修科目に置き換えることができる場合もあるので、卒業までの単位が免除され、大学の学費が少なくてすむこともある。

DP取得のメリット③：学際的な学びが可能

DPで学ぶ生徒は探究的に学ぶため、科目を横断して学ぶ。例えば、「科学×歴史」「数学×アート」など、学際的な学びが可能になる。

その結果、新しい分野の学問や研究が発見されることがある。

DP取得のメリット④：地域・国・世界と視点が聡明になる

国際的な視野を持つ、というIBの理念の下、自分が住む地域のことを世界に結びつけて考える学習をする。

そのため、地域と国、国と地球が持つ概念や問題をリンクして解決できる思考が身につくといわれている。

DP取得のメリット⑤：高潔なマインドを身につけることができる

DPでは、前述したCASと呼ばれる3つの要件を通して、社会奉仕活動が必須になっている。例えば、地域の外国人住民のために災害時のマップを作って配布したり、カンボジアに学校を作ったりすることもしている。

その中で、利害で物事を判断するだけではなく、社会に貢献する高潔なマインドを育むことができるといわれている。

また、多様性のある他人や団体、さらには地域のコミュニティーのために公平な精神と尊敬の心を持ち合わせるように育つだろう。

他にも様々なメリットがあるといわれている国際バカロレア。今までの説明で興味を持った人も多いだろう。

だが、すべてのインターナショナルスクールで国際バカロレアのDPが取得できるわけではない。

しかも最近は、日本の文部科学省も国際バカロレアを推奨しているので、一条校（国から認められている一般の学校）でも、DPを取得できる学校が増えてきている。都内だと、玉川学園や東京学芸大学附属国際中等教育学校などがある。

ちなみに、都内の学校で、国際バカロレアのDPを取得できる学校は11校（インターが6校、一条校が5校）ある（2023年6月現在、文部科学省・IBの教育推進コンソーシアムより）。

では、国際バカロレアのDPを取得するのにインターと一条校で違いはあるのか。

結論からいうと、国外の大学進学を考えている場合はインター、国内の大学進学も考えている場合は一条校のほうがよいだろう。

とはいっても、一概には言えないので、どちらに進むのがよいのか、それぞれのメリット、デメリットから考えてみよう。

インターのメリット①：海外大学への進学に強い

インターの場合、外国の教育プログラムを基盤に学び、使用言語は、英語のところが多い。

そのため自然に英語が身につく環境が整っているうえに、英語が基盤となっているDP取得もしやすい。

さらにDPと同時に世界の多くで採用されている大学入学資格が得られる学校もある（例えば、アメリカの大学で科目別に選択するAPや、イギリスのA Levelなど）。

これらのことから、将来海外の大学に進学したい人にはインターのほうがより適していると考えられる。

近年は、AO入試や国際バカロレア入試などを利用して国内の大学に進学することも可能だ。

インターのメリット②：国際的な学習環境で勉強できる

インターの場合、先生や生徒が外国籍の人が多く、日本人が多い一条校よりも国際的な環境で学習できる。

様々なバックグラウンドを持つ生徒や教員がいるので、日本にいながら国際的な感覚を身につけられる。これは、AO入試や国際バカロレア入試の際などの自己アピールポイントにつながるだろう。

インターのデメリット①：日本の大学受験資格を得られない場合がある

インターナショナルスクールで国際バカロレアのDPが取れる学校に通っている生徒にとって、日本の大学受験資格を得る方法は２つある。

①文部科学省、または国際的な教育認定機関（いわゆるWASCやCISなど）から認定を受けたスクールで12年の課程を修了すると、日本の高校卒業と同等の資格を有しているとして、大学受験の資格が得られる。

②国際バカロレアのDPを取得した場合は、個人の成績としてIBのスコアを利用し日本の大学を受験することができる。

国際バカロレアのDPは、合格率が70％前後のため、30％はDPを取得できないのが現実。

インターを卒業したが、DPを取得できなかった場合は、①を利用して日本の大学資格を得ることになるが、認定を受けていない学校を卒業した場合は、日本の高校卒業資格を得られない学校もあるので注意が必要だ。

国際的な学校評価団体のうち2つを紹介する。（※は、国際バカロレア認定校でありDP課程がある学校）

WASC認定（アメリカのカリフォルニア州に本部を構える教育組織による学校認定）
・アメリカンスクールインジャパン
・西町インターナショナル
など

CIS認定（オランダ日本部を構える教育組織による学校認定）
・東京インターナショナルスクール
・清泉インターナショナルスクール　※
・アオバジャパン・インターナショナルスクール　※
など

WASC/CIS双方の認定を受けている
・ケイ・インターナショナルスクール　※
・セント・メリーズ・インターナショナルスクール　※
・カナディアン・インターナショナルスクール
・聖心インターナショナルスクール
など

他にも団体はあるが、日本の大学に進学することを考えている場合は、これらの団体に認定されているか確認し、そのうえで理念やカリキュラムをチェックすることが必要となる。

インターのデメリット②：日本語の維持が難しい場合がある

生徒、教員ともに外国籍の人が多いので、必然的に日本語を使用する機会や日本文化に触れる機会が少なくなる。

日本語には、漢字、カタカナ、ひらがながあるうえに、熟語に丁寧語、謙譲語、尊敬語など言語体系が複雑だ。

そのため、努力しなければ、日本語の維持が難しくなる場合がある。

一条校のメリット①：日本の高校卒業資格を得られる

一条校が、インターと異なる点は、文科省の指導要領に沿ったカリキュラムで勉強をしながらDPを取得するので、日本の高校卒業資格が得られる点が1番のメリットだ。

たとえ、DPの資格を取得できなかったとしても、日本の高校卒業資格を用いて、日本の大学に進学できるというメリットがある。

一条校のメリット②：日本語の維持がしやすい

一条校は、生徒や先生の大半が日本人であることや日本の高校のカリキュラムをこなすことから、日本語の維持は容易だ。

一条校のメリット③：自分の英語力に合わせて勉強できる

一条校は、日本国籍の人が多いので、海外在住歴が長く英語が堪能な人から初級レベルの人まで、英語のレベルが様々だ。

そのため、レベルに分けてDP取得の勉強ができるように工夫されているところが多い。自分の実力にあわせて勉強できる環境が、整っている。

一条校のデメリット①：授業数が多い

大抵の学校は、通常の高校のなかに、「国際学級」「IBコース」と特別なクラスが設けられていて、そこでDP取得の勉強をすることになる。

そのため、一条校でDPを取得する場合、日本の高校のカリキュラムに加えてDPを取得するための課題をこなす必要があるので、必然的に授業数が多くなる。

普通科よりも1日あたり1～3時間ほど長く授業を受ける必要があるので、「0時間目」の設置や放課後に授業を入れる形でカバーする学校もある。

したがって、委員会や部活などに専念する時間が削られることもあるという大変な面もある。

一条校のデメリット②：DPの最終スコアに影響が出て、海外の大学進学が不利になる可能性

DPは、海外大学に進学するための資格になるが、最終的にはどの大学に行けるかはDPの最終スコア（テストの点数や課題の点数など）が重要になってくる。

通常は、前述した様々な科目から自分の好きな科目を選んで、高得点を取れるように組み合わせていく。

しかし、国際バカロレアを導入したばかりの一条校だと教員数を確保できていないこともあり、開講科目が通常より少なく、希望科目を選択できない場合がある。

最初から選べる科目が制限されていると、得意科目で高得点をとることができなくなってしまい、大学進学に影響がでる可能性がある。

結果、インターナショナルスクールでDPを取るより、スコアの取得が大変になることがある。

◆

以上より、国際バカロレアのDP取得する際に、一条校かインターかはそれぞれのメリットとデメリットがある。

進学する大学をどこにするのかを考えて、自分に合う学習環境を考えることが大切となってくる。


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