30代になって始める人が多い趣味といえば、ゴルフ。
大人の社交場として、接待ゴルフに誘われる人も多いはず。
しかし、ゴルフはルールが多く、それ以上にマナーを重んじるスポーツ。特に、コースデビュー、ビギナーの方は、知らないと恥をかいてしまう場面も。
そこで、今回のテーマは「ゴルフのマナー」について。
クラブハウス到着からラウンドを回り終えるまで、押さえるべきポイントをプロゴルファーの笹原優美選手に教えていただこう。
取材・文/安福みき(ONE-HALF)
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教えてくれるのはこの方
ゴルフの始まりはクラブハウスから。服装マナーを順守しないと…?
「あー、やっと着いた」
今日は日曜日だが、田中秀一は自身の車を運転し、千葉のあるゴルフ場にやってきた。新卒から損保に勤務。職業柄、接待には慣れているが、ゴルフ接待は今日が初めてだ。
「ゴルフは嫌いじゃなけど、接待だから気を引き締めないとな」
厳密な決まりはないが、ゴルフは4人1組でプレーするのが一般的。本来は、ゴルフ部出身の先輩が行くはずだったが、急な出張が入ったらしく、急遽秀一が穴埋めすることになった。
この日のメンバーは、取引先の重役・緑川と直属の上司である田辺、そして、2年先輩の河北志保だ。
― 取引先の緑川常務と田辺部長は、早めに来て一緒に朝食をとるって言ってたよな…。
秀一がゴルフを始めたのは、コロナ禍である2年前。以来、友人に誘われれば打ちっぱなしやラウンドに出かけるようになった。
田辺部長からは、スタート時間のみ聞いている。駐車場に車を停め、クラブハウスのエントランスを潜ろうとしている今は、スタート時間のちょうど1時間前だ。
今日は天気もよく、汗ばむ陽気。
秀一は、襟付きのシャツにスラックス、足元は革靴を履いている。先月、友人たちと行ったゴルフ場では「7〜9月はジャケット着用不要」とあったため、今日もジャケットは着ていない。
― 着なくてもいいんだろうけど、接待だから一応持って行くか。
荷物と共にジャケットを携え、受付に向かう。
すると、不意にゴルフ場のスタッフに声をかけられた。
「お客様、当クラブハウスではジャケットの着用をお願いしています。それと、サングラスもお外しいただけますでしょうか?」
秀一は、慌ててサングラスを外し、手にしていたジャケットを羽織る。そして、キョロキョロとあたりを見回していると背後から聞き慣れた声がした。
「田中くん、今日は接待なんだから。マナーだけはしっかりしないと、恥ずかしいよ?」
声の主は先輩の志保だ。
― しまった…。見られてたか…。
初っ端からの失敗に気を引き締める秀一だった。
初めて利用するゴルフ場。ドレスコードは何が正解?
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