「ジューンブライド」には、一生幸せな結婚生活が送れるという伝承がある。そのため、多くのカップルが6月に挙式を行う。
最近、友人から結婚式の招待状が届いたなんて人も多いのではないだろうか。
そこで、今回は結婚式に参加するときに知っておくべきマナーを、友人の結婚式に招待された複数のゲストの視点から取り上げる。
講師には、5,000人以上の「和の作法」の指導にあたってきた齊木由香先生をお迎えし、式場到着から披露宴がお開きになるまでのマナーをご指南いただく。
取材・文/風間文子
▶前回:お店選びから当日の段取りまで。絶対失敗できない“両家顔合わせ”で気をつけるべき4つのポイント
教えてくれるのはこの方
一般社団法人 日本近代礼法
代表理事 齊木由香さん
酒蔵を営む家系に生まれ育ち、幼少期より年中行事には和服を着用し、和文化に親しむ。大学にて着物を生地から製作するなど、日本文化における衣食住について学ぶ。
温泉旅館の仲居や女将をはじめ累計5,000人に「和の作法」を教授。また、大学での客員教授や、数々のメディアで所作指導・現場監修を手掛ける。国内に留まらず、海外の方にも積極的に文化普及に努めている。
Case1:同窓会気分で友人の結婚式に参加。会社事務員・白鳥美咲(28)の場合
都内の披露宴会場に到着した白鳥美咲(28)は、なぜか憂鬱な気分だった。
目の前のウェルカムボードには、こう書かれてあった。
「Welcome to Our Wedding Reception 翔太&萌」
美咲が萌と最後に会ったのは、地元で行われた成人式のときだ。
そのときは互いに彼氏がいなくて、30歳まで独身を謳歌しようなんて盛り上がったものだ。それなのに、萌は事前に報告もなく1ヶ月前に結婚式の招待状を送ってきた。
友人が結婚するのは喜ばしいことだ。しかし、なぜか素直に喜べない自分がいた。そんな美咲の視界に入ったのは、高校のときの同級生、桃子だ。
「ちょっと桃子じゃない?久しぶり!」
見ず知らずの招待客のなかに懐かしい顔を見つけ、美咲はついカン高い声を上げてしまった。
「美咲、元気そうね。成人式以来会ってなかったもんね。そうだ、佳奈も来てるよ」
「マジっ!?早く会いたいよ〜」
桃子も佳奈も、高校時代に萌とよく一緒に遊んでいた仲間だ。
最初こそ気落ちしていた美咲だったが、久しぶりの旧友との再会に機嫌はすっかり良くなっていた。
「こうなったら今日は飲んで、楽しむしかないわね。これで新郎の友人にイケメン集団でもいたら、言うことナシなんだけどな〜」
浮かれる美咲だったが、桃子は怪訝そうな顔で、美咲の頭からつま先までを眺めた。
「それより…美咲、その格好で式に出るつもりなの?」
美咲がTシャツにジーンズ、スニーカーという格好だったのが気になったようだ。
「まさか。ドレスで電車に乗るのは暑苦しいから、会場のトイレで着替えようと思っていたの。大丈夫よ、ちゃんとドレスも靴も持ってきてあるから」
美咲が足元に置いた大きなボストンバッグを指さすと、桃子は呆れた表情を返した。
「早く着替えてきなよ。もうすぐ式が始まるよ」
「うん、ちょっと“変身”してくるわ」
重いボストンバッグを持ち上げて、美咲はトイレへと向かった。その際、1人の若い女性とすれ違いざまに軽くぶつかってしまう。
お互いに謝って事なきを得たものの、数時間後、美咲はこの女性の背中を悔しさに満ちた眼差しで見ることになろうとは、知る由もなかった。
知人の結婚式に招待された際、最もやってはいけないNG行為とは?
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この記事へのコメント
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