オトナの5分読書 Vol.1

帰国子女やインター出身じゃなくても、海外の大学に行ける!?日本の教育システムの中で英語を学ぶ方法

児童英語教育と第二言語習得に詳しい上智大学短期大学部の狩野晶子教授によると、特に幼児期に伸びるのは、「聞く力」

狩野教授は、「小学校の間は、読み書きをかっちりさせるのではなく、意味のある英語を楽しくたくさん聞くことで、英語の音に慣れさせることが大事」だという。

個人差は大きいものの、2,000から4,000時間聞くと、ある程度英語で意味が取れる聞き取りの力が育つといわれている。

だが、学校の授業で週に1回1時間程度、英語に触れたとしても、年間で35時間。3,500時間聞くには約100年もかかってしまう。

学校や英語教室だけに頼らず、毎日少しずつでも、家庭で英語を聞く機会をつくってあげることが効果的なのは明らかだ

となると、やはり「英語は早く始めないと身につかない」のか。

逆に、英語を習得するには早く始めないと「手遅れ」になってしまうのか。

ペンシルバニア大学教育学大学院のバトラー後藤裕子教授は、「外国語学習環境では、語彙や文法の習得に関しては、ある程度認知機能の発達してきた小学校高学年あたりから始めた方が、乳幼児期から始めるより効率がいいことが実証されている」といっている(『英語学習は早いほど良いのか』)。

アメリカ・イェール大学で助教授をつとめ、現在は英語塾「J PREP」の代表である斉藤淳氏もダイヤモンド・オンラインの記事で「子どもの見よう見まねで覚えた英語というのは結局のところ『子どもレベルの英語』です。

そのままでは社会に通用しない」といい、英語教育を長期的な目線で捉えれば、一定の知性に裏打ちされた大人の英語をマスターすることが大切だと語っている。

幼児向けの英語教室などでは「大きくなってからでは遅い」といった早期教育を煽る言葉を投げかけられるかもしれないが、幼児期には「聞く力」は伸ばせるものの「臨界期(*)」についてはまだ仮説の域を出ていない。(*臨界期とは、「人間の脳には学習するのに適切な時期があり、その時期を過ぎると学習が非常に困難になってしまう」という考え方)

したがって今のところ英語を学び始めるタイミングに「手遅れ」があるとは言い切れない。

幼少期から英語を学ぶうえで注意したいのは、親が焦らないこと、子ども自身が望んでいないにもかかわらず英検のようなもので成果を求めすぎないこと


子どもを早い段階で英語嫌いにさせないように、小さなうちは無理なく楽しめているかが大切だ。

聞く能力に優れていることを意識しつつ、英語を通じて広がる楽しい世界に触れさせてあげること。

それこそが将来子どもの英語力を伸ばす上でのゆるぎない基礎となってくる。

本書を通して著者が一貫して伝えていることは、こういった英語を勉強したいという「内発的動機づけ」の重要性だ。

モチベーションには「外発的動機づけ」と「内発的動機づけ」の2種類がある。試験の点数や順位などの結果で褒めるのは典型的な「外発的動機づけ」。

一方で心の内側から溢れる興味や関心から行動に繋げていくのが、内発的動機づけ。

日本から海外の大学に進学するレベルの英語学習は、外発的動機づけだけでは長続きしない。

内発的動機を高めるための方法が本書では様々な角度から紹介されているが、「親としてできること」という視点で、編集部がピックアップした箇所を紹介する。

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