「他に好きな人ができたから」
「浮気したから」「されたから」
男女の別れはそんなに単純じゃない。
付き合う前、付き合った後、結婚前、結婚後…。
さまざまなタイミングで“別れ”のトラップは潜んでいる。
些細な出来事であっても、許せるか、許せないかはその人次第。
パートナーのその言動、あなたなら許す?許さない?
▶前回:結婚相手として完璧な彼女だが…。男が別れを意識した、彼女の突飛な「お願いごと」とは
Vol.4 芸能事務所マネージャー・大塚高宏(33歳)の場合
大塚高宏は、LINEを開いてため息をついた。
『侑也:俺、萌美と別れないことにしたよ』
20代を一緒に遊び倒した悪友・侑也は、束縛の激しいカノジョと付き合い続けるつもりらしい。
― バカだな。
高宏は、口には出さなかったが心底呆れた。
高宏は1年前まで結婚していた。だからわかるのだ。侑也には不幸な未来が待っていると。
― 大事なのは愛なんだ。愛。
束縛する女が持っているのは、執着であって愛ではない。
― 愛は、決して相手を傷つけない。
高宏は自分の愛情深さに自信がある。
たとえば元妻の静香のことを、高宏はいまだに愛している。
妻としても、女としても、愛してはいない。ただひとりの人間として愛しているのだ。
一度は家族になった以上、その愛が消えることはない。別れた今でも高宏は、静香に幸せになってほしいと願っていた。
― そういえば…。
まもなく離婚してから初めての“元”結婚記念日を迎える。
侑也からのLINEを閉じると、高宏は元妻・静香とのトークを立ち上げ、2通のLINEを送った。
『高宏:結婚記念日だね。もう一緒に祝うことはないけれど笑』
『高宏:離婚してから会ってないけど元気かな?静香の幸せを願っています』
静香は何と言ってくるのか。高宏は期待に胸を膨らませながら、彼女からの返信を待った。
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