2023.01.24
「渋谷でデート」というと、大人が満足できる店選びに意外と迷ってしまうもの。
そんな時は、美味しくって程よく賑わいがある「本気のイタリアン」でビシッと決めたい。
こんなにいい店にサラッと足を運べたら格好いい、ツウが惚れ込む名店を紹介しよう。
◆
※コロナ禍の状況につき、来店の際には店舗へお問い合わせください。
1.さらに仲良くなりたいデートなら、“艶やか”より“陽気”が正解
『トラットリア シチリアーナ・ドンチッチョ』
気安くデートに誘えて美味しさは間違いなく、行ったら誰もが楽しかった!と感激する。渋谷の名店といえば『ドンチッチョ』が筆頭だろう。
現在は仮店舗で営業中。しかし、“らしさ”は変わらず、輝きを放っている。
料理もサービスも気取ってないけど超一流。これが渋二の正しきディナー
一度体感したらクセになる。『ドンチッチョ』はそんなオーラで満ちている。
快活に料理をサーブするスタッフは心地よい距離感を保ち、厨房からは威勢の良いかけ声と熱気が届けられる。
その場にあるすべてのテーブルで楽しさは共有され、料理に歓喜の声が上がる。
そんな店を作り上げたオーナーシェフの石川 勉さんはいつも人懐っこい笑顔を浮かべて言う。
「シチリアの修業時代、一番感激したのは、楽しさ。島に暮らす誰もが人生を楽しむ術を知っていた。レストランもそのためにあって料理人は和気あいあいと仕事をし、客もゆったり過ごしていた」
20年以上も変わらず、シェフの姿勢を象徴
「いわしとウイキョウのカサレッチェ」
独立して初めて開いた、『ドンチッチョ』の前身『トラットリア・ダ・トンマズィーノ』時代から提供し続ける名物。
当初からシチリアと全く同じ美味しさを目指し、その頃は日本人にあまりなじみのなかったウイキョウをあえて使用。
新鮮なイワシを丁寧にさばくところから始まり、サフランの香りをまとわせるレシピも不変で、松の実やレーズン、煎ったパン粉を使うところもシチリア流。
今も石川さん自ら味の最終チェックを行う。2,400円。
◆
その空気感を再現し、楽しむ精神を東京に伝えたかったから、石川さんはシチリアの調度品を店に飾るし、家族としてスタッフと接する。料理も現地流を徹底する。
本場の伝道師として、渋二隆盛の立役者として15年以上も走り続けた『ドンチッチョ』だが、今は2023年1月末まで同じ渋二の仮店舗で営業している。
今しか楽しめない小体な空間での体験が未来の財産になる
席数は以前の半分以下で、かなり狭いが、漂う空気感は変わらず。美味しいものが食べられるオーラで満ちている。
『ドンチッチョ』が渋谷で体感できるのもあと数日。
新店舗は港区南青山1-2-6 ラティス青山スクエア 1F(03-5843-1393)で2月中旬オープン予定だ。
ペコリーノとオレガノで塩気と香りを加えたパン粉をまぶして焼く定番。
ふわふわの身から旨みがあふれ出す「カジキマグロの“パレルモ風”炭火焼き」3,000円。
今夜も特別な人を誘いたくなるのはこの店が渋谷だけでなく、時代を代表する名店であるからにほかならない。
店が変われど雰囲気変わらず『ドンチッチョ』を形成するもの
~オーナーシェフ石川さんに聞いたシチリアの空気の醸し方~
『ドンチッチョ』はシチリアに行ったことがある人も、行ったことがない人にも本場を思わせる、いくつかの理由がある。そのワケに迫る。
「開店以来、ずっとメニューの表紙は変えていません。フィレンツェで修業したときのシェフが贈ってくださったシチリア料理レシピ本の表紙で、現物は今も自宅で大切に保管しています。
新店舗でも、これは変えないつもり」
「当初から何度もシチリアに足を運び、同じ味になっているか、確認を繰り返してきましたが、同じ食材を使うこともやはり大切。
まぐろで作る、パンチのある味わいのボッタルガやデザートにも使うピスタチオは欠かせない存在」
ラムチョップにピスタチオがザクザクと入った衣をまぶし、揚げ焼きに。ナッティなコクと羊の香りが相性抜群。
付け合わせは黒ヒヨコ豆のビネガー和えで口直しに最高。「仔羊とピスタチオ」3,600円。
イタリア語でカルチョーフィと呼ばれるアーティチョークをフレッシュで仕入れ、ヤリイカとサラダ仕立てに。ボッタルガの塩気で食べる前菜で一体感ある美味しさ。
「ヤリイカとカルチョーフィ ボッタルガがけ」2,800円。
◆シチリア産のスパイス&ハーブ
「食材と同じく、調味料やハーブ、スパイスもシチリア産を基本は使っています。
枝付きオレガノはガンジダンテ社のシチリア産で、ケッパーは名産地として知られるシチリア沖のパンテッレーリア島産。現地の海塩に漬けてあり、風味も豊か」
螺旋状のシチリア伝統的パスタを手打ち。
ケッパー、オレガノのほか、黒オリーブの旨みも生きたトマトソースでいただく「パンテレッリア風ブズィアーテ」2,500円。
「修業時代にイタリア人シェフがロングパスタを、このフォークで盛り付けているのを見て格好いいと思い、それからずっと私も真似してます(笑)。
フォルケットーネって言うんですが、慣れると、これが一番、美しく盛れる」
「男性限定ってワケじゃないんですけど女性がいるとお客様から「え!?女性雇ったの?」って驚かれるんです(笑)。
いずれにしろ1日の大半を一緒に過ごす仲間は、もう家族。賄いも一緒に食べるのが変わらないルール」
■店舗概要
住所:渋谷区渋谷2-2-2 青山ルカビル 2F
TEL:03-3498-1828
営業時間:18:00~(L.O.23:00)
定休日:日曜、祝日
席数:カウンター6席、テーブル16席、個室1(8席)
2.渋谷駅から3分!魚介が美味しいイタリアンに集まろう!
『タロス』
フクラスとマークシティという西口の新旧ランドマークに挟まれた一角。
昔懐かしい飲み屋街の雰囲気が色濃く残るこの場所で、15年以上にわたり大人たちに愛されてきたイタリアンがある。
女性がおしなべて好きなイタリアンは変化球が効果的!
駅近の知る人ぞ知るディープスポットへと、エスコートする意外性
駅から徒歩3分という至極便利なロケーションながらも、意外と足を踏み入れたことのない人も多い渋谷駅前中央街。渋谷ツウであっても、その名を知る者は少ないだろう。
だが実は、美食の老舗が点在するエリアでもある。2007年にオープンした『タロス』も、その中のひとつだ。
南イタリアにいるようなディスプレイの数々がリゾートムードを後押し
店内へと一歩足を踏み入れると、出迎えるのはショーケースに並ぶ “catch of the day(本日の鮮魚)”。
さらに奥へと進めば、青い壁画にカラフルな絵皿のディスプレイと、異国情緒もたっぷり。
メニューにずらりと並ぶサルデーニャ島の郷土料理の数々を前にすれば、自然と期待は高まるというもの。
産地から直送される魚は日替わり。
グリル、ハーブオーブン焼き、アクアパッツァ、トマトパッツァの4種類の調理法から選んでオーダー可能。100g 900円~。
エビやイカと合わせた「魚介のミックスグリル」(3,980円)も人気。
とはいえ、店内に浮ついたムードは一切なし。
「大人の社交場にしたい、という思いは開店当初から」とシェフが話すように、客層もこなれた大人が多く、落ち着いた雰囲気でデートにも申し分ない。
渋谷でイタリアンというベタなチョイスながら大人として格好がつくのも、王道の名店、それもサルデーニャ料理という変化球ゆえ。
“美食の秘境”を誘い文句に、大切な人を連れ出そう。
『タロス』で頼むべき王道のサルデーニャ料理はコレ!
イタリアといっても独自の食文化を持つというサルデーニャ島。オーダー時にまごつかないために、鉄板オーダーを紹介しよう。
【1皿目】意表を突く3つの素材のハーモニー
「カラスミとペコリーノチーズ セロリのサラダ」
最高峰のサルデーニャ産のボラを使ったカラスミを惜しみなくカット。
シャキシャキのセロリとまろやかなチーズに、ねっとりとした旨みが絡み合い、後を引く。乾杯の泡と合わせたい。2,860円。
【2皿目】ふわりと軽い食感が面白い“羊飼いの発明品”
「パーネ フラッタウ」
羊飼いが放牧に出る際に持ち歩くという薄焼きのパンを使ったグラタン。一見、重そうに見えるが、パン生地が極薄なので至極軽い。
トマトの酸味をはじめ、素材のシンプルさが引き立つ1品。1,738円。
【3皿目】オープン当初から変わらぬ粒々パスタ
「新鮮貝類のフレーグラ」
フレーグラとは、「魚卵」という言葉に由来するサルデーニャ特有のパスタ。
ムール貝、あさり、ホンビノスをたっぷり使い、貝の出汁で茹で上げるため、噛むほどに味が溢れ出す。ほぼ7割のゲストが頼む“鉄板”だ。
トマトの酸味とイタリアンパセリの清涼感も小気味よく、一度手をつけると止まらない。貝の殻をスプーン代わりに、手を使って豪快にいただこう。
かしこまらないカジュアルさもふたりの距離を縮めてくれる。2,640円。
【4皿目】忍ばせたオレンジに南イタリアの香りを感じて
「仔羊骨付きロースのグリル」
人口よりも羊の数が多いと言われるサルデーニャ島。肉といえば当然、羊を指す。脂をしっかり焼くことで香ばしさが加わり、ジューシーな赤身が引き立っている。
グリルしたオレンジの爽やかな香りも食欲を誘う。3,146円。
デザートまで初体験!
“ヨーロッパ最古の菓子”といわれる「セアダス」1,100円。
サクサク生地の中から溶け出すチーズにオレンジと蜂蜜が加わり、なんともいえない“甘じょっぱさ”がクセになる。
サルデーニャ産のワインも楽しめる
グラス、カラフェ、ボトルと3種のサイズでそろうワイン。
魚介類に合わせるなら、穏やかな酸と爽やかな苦味のバランスに優れた白ワイン「ス アーロ」(6,820円)を。
肉には優美なアロマが香る赤ワイン「セネス」(9,790円)がおすすめ。
■店舗概要
住所:渋谷区道玄坂1-5-2 渋谷SEDEビル 1F
TEL:03-3464-8511
営業時間:【火~金】ランチ 12:00~(L.O.14:00)
ディナー 18:00~(L.O.22:00)
【土・日・祝】ランチ 12:00~(L.O.14:00)
ディナー 17:30~(L.O.21:30)
定休日:月曜
席数:テーブル56席
3.「今っぽい渋谷」を感じるなら宇田川町のテラスへ!
『BALCONE SHIBUYA』
再開発が進み、渋谷でも選択肢を増やしているのがテラスのあるレストラン。
今年誕生したばかりの、『BALCONE SHIBUYA』は、スタイリッシュで広々としたテラスを備えるだけでなく、そんな開放空間を冬でも提案しているという。
ビル最上階のイタリアンに用意されたアーバンリゾートな夜
初めて連れ出したなら、彼女も驚きの歓声を上げるに違いない。ウッドデッキも備わる開放空間だ。
『BALCONE SHIBUYA』はテラスが素晴らしいレストラン。24席と広く、四季を通じて楽しめるが、実は冬に訪れるのがオススメだ。
遠赤外線ヒーターなどを備え、寒さ対策は万全。冬は空気が澄んでいるから夜景がきれいで、初めての体験ゆえに胸に深く刻まれる。
料理はイタリアンがベースで、素材の旨みを繊細に引き出す絶妙な火入れ加減に技術力の高さを実感する。盛りつけは繊細でいて、華やか。
手掛ける藤井大樹さんは、渡仏経験もあるフレンチ畑のシェフ。「アウトプットはイタリアンですが、技はフレンチ」と胸を張る。
干しダラを使った郷土料理「ブランダード」をモダンに仕上げた「鱈のエスプーマ キャビア添え」。
「〆のオマールリゾット」。
貝の出汁で泡状のムースを作り、チーズリゾットの上に。濃厚なアメリケーヌソースも出色のでき。
料理はすべてコース(12,000円)より。
天気が悪い日はリゾート感あふれる店内へ!
オープンキッチンを配する店内は、アースカラーで統一されシックな雰囲気。
ビビッドな色遣いが目を引くアートは、気鋭のアーティストが同店のために描き下ろしたオリジナルだ。
◆
ソムリエは「コンラッド東京」出身の支配人・大沼俊樹さんで、この時季はホットワインも提供。
冬のオープンエアを、快適に楽しめるとあれば通いたくなるのは必然で、他と差をつける切り札がまたひとつ、増えたことになる。
ホットワインで体の芯から温まる!
テラスではクローブとシナモンが香るホットワインで、身も心も温まりたい。
ワインリストも豊富で、定番の赤ワインに加え、白ワインやフルーツワインでも提案してくれる。グラス 1,200円~。
宇田川町の喧騒を忘れる最上階に!
井の頭通り沿いの宇田川町、という若者が集うエリアに、この店の入るビルは建つ。
ビル最上階のテラスでは、地上の喧騒が静けさに変わり、ゆったりとした時間が流れる。
◆
渋谷でデートなら、かしこまらず賑やかに楽しめるイタリアンがおすすめ!
今すぐ足を運んでほしい、間違いなく美味しい名店たちだ。
▶このほか:「渋谷で飲もうよ!」に最高な海鮮酒場を発見。名物“炭炙り鮨”のインパクトに驚く!
■店舗概要
住所:渋谷区宇田川町10-3 Daiwa SHIBUYA EDGE 9F
TEL:03-6416-1104
営業時間:17:30~(L.O.21:00)
定休日:月曜
席数:テラス24席、テーブル16席、個室1(4席)
今月の『東京カレンダー』は「大人は渋谷を賢く使う」特集。渋谷デートも大人が楽しめる実力派レストランならもっと楽しくなる!
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