2022.12.25
9.スイーツと楽しもう!シャンパンと肩を並べる、英国のスパークリング
「Gusbourne Estate Blanc de Blancs 2015(ガズボーン・エステイト ブラン・ド・ブラン 2015)」
2004年、ケント州のアップルドアに創業した「ガズボーン・エステイト」。中でも今、イチオシなのがこのワインだ。
複雑味を出すため、原酒の一部は古いオーク樽で発酵。最低42ヶ月と、ヴィンテージ・シャンパーニュの規定よりも長い熟成を施す。
8,340円/ベリー・ブラザーズ&ラッド 日本支店 TEL:03-3518-6730
◆
2022年の4月、フランスのブドウ畑を遅霜が襲って、シャンパーニュ地方も被害を受けた。幸い、シャンパーニュにはリザーヴワインといって、過去に収穫して醸造したワインを寝かせておく習慣があるが、この先も凶作が続くようだと価格が高騰しかねない。
シャンパーニュが不作の今、じつは温暖化前のシャンパーニュ地方と同じ気候のワイン産地なのが、英国南部。
この10年でブドウ畑の面積は2倍近くにまで広がり、現在、3,800ヘクタール。生産量の72パーセントが、シャンパーニュと肩を並べる高級スパークリングワインだ。
ブドウにとって開花から収穫までの理想的な日数は、およそ100日とされている。シャンパーニュではこれがどんどん短くなっているが、英国南部のケント州やウエストサセックス州でちょうど100日。アロマ豊かでバランスのとれたブドウが収穫できるのだ。
そんな英国スパークリングでおすすめの1本が、ガズボーンの「ブラン・ド・ブラン」。
シャンパーニュのブラン・ド・ブラン同様、シャルドネ100パーセントから造られたスパークリングワインだ。冷涼な気候と海岸線からわずか10キロの距離にあるおかげで、キリッとミネラル感にあふれるブラン・ド・ブランができる。
ひょっとすると、今となっては本家コート・デ・ブランのブラン・ド・ブランより「らしい」かもしれない1本だ。
ドライフルーツやクリームチーズ、パウンドケーキなど、食後の甘いモノととてもよく合う。贅沢な大人の時間を過ごすのに、ちょうどいいワインだ。
10.とっておきのプレゼントに、イタリアのバルベーラ生まれの贅沢な1本を
イタリアのピエモンテ州アスティ県、ニッツァ・モンフェッラートにあるブティックワイナリー。
ボトロはオーナーの愛犬の名前で、ラベルにもイラストが。ブラックチェリーやプラムに、カカオのフレーバーが香る。
6本 約44,000円(2022年12月時点)/https://e-ponte.jp
◆
イタリア・ピエモンテ地方の主要ブドウといえば、長期熟成型の偉大なワインを生み出すネッビオーロだが、今、この地方で面白いのはバルベーラというブドウ品種だ。
その昔、バルベーラは、地元で飲まれる薄くてやたら酸っぱい日常ワイン用の品種だった。それを高級ワインに変えたのが、ジャコモ・ボローニャという人物で、70年代の終わりにオークの小樽で熟成させたバルベーラを世に出して大成功。
さらに近年の地球温暖化の影響で、豊かになった果実味が強い酸味を包み込み、調和の取れたワインが容易に造られるようになった。
ネッビオーロほど渋みが少なく、芳醇な果実味とピュアな酸味でじつにおいしい。
それから、2014年にバルベーラ・ダスティからニッツァというサブゾーンが独立した。これこそキング・オブ・バルベーラなのだ。
上物のワインには、「黒トリュフ入りチョコ」など、ラグジュアリーな逸品を合わせて贅沢に。赤ワインの艶かしさや馨しい香りとじつにマッチする。
贈り物にふさわしく、高級感のある、シンプルなエチケットなのもポイントだ。
11.カリフォルニアのピノ・ノワールは今が狙い目!スパイスの効いた中華とのマリアージュを楽しんで
「Racines Pinot Noir STA. RITA HILLS CUVÉE(ラシーヌ ピノ・ノワール サンタ・リタ・ヒルズ)」
ドメーヌ・ド・モンティーユは17世紀後半からワイン造りを始めた名家。
現在の当主エティエンヌ・ド・モンティーユは、2016年にカリフォルニア、オレゴンを旅した際、サンタ・リタ・ヒルズのポテンシャルに開眼。
本家のプルミエ・クリュ・タイユ・ピエと比べ半額以下で手に入れられるのも嬉しい。
11,000円/WINE TO STYLE TEL:03-5413-8831
◆
アメリカ西海岸の涼しい気候が、カリフォルニアワインに大きな可能性をもたらしているのはご存知だろうか。
そのカギとなるのが、ピノ・ノワール。この品種は比較的冷涼な気候を好むので、カリフォルニアでも海岸に近い地域ほど優れたワインができるのだ。
今年ようやくAVA(アメリカ政府承認ブドウ栽培地域)に認められた「ウエスト・ソノマ・コースト」は要注目のエリアで、サンタ・バーバラ郡の「サンタ・リタ・ヒルズ」からも優れたワインがたくさん生まれている。
例えばこの、「ラシーヌ」は、フランス・ブルゴーニュの名門ドメーヌ・ド・モンティーユが、5年前からサンタ・リタ・ヒルズで始めたプロジェクト。
その知見を生かして、じつにブルゴーニュっぽい、エレガントかつ艶かしいピノ・ノワールの赤ワインを造っている。
去年、ブルゴーニュは遅霜で収穫減に見舞われ、著名な銘柄は世界中で奪い合い。大幅な価格高騰は免れないから、こうしたカリフォルニアの上質ピノ・ノワールこそ、今が狙い目なのだ。
「ラシーヌ」は、ミントやセージ、タバコやバラの花びらなどが混じる濃厚で複雑なアロマが感じられる1本。肉付きが良く深みがありながら、バランスの取れた味わいで、スパイスの効いた中華などと相性が良い。
今後さらに価格高騰が予想される、今まさに狙い目の上質なワイン。センスのいい贈り物として、選択肢のひとつに入れてみてはどうだろう。
■監修:ワインジャーナリスト・柳 忠之氏
月刊誌「東京カレンダー」とWEBにて、ワイン連載「柳 忠之のこの12本におまかせ」を監修中。
専門誌からライフスタイル誌まで幅広い分野の雑誌で執筆を手掛け、切れ味あるコメントに定評がある。
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