「結婚しない男女が増えている」と言われる昨今。しかし東京の婚姻率は人口1,000人当たり5.5%で、なんと全国1位を誇っている。(※『令和2年 東京都人口動態統計年報』)
特に「東京都区部」と呼ばれる東京23区は、その中枢を担っているのだ。
ただ、結婚すればそれだけで幸せなのだろうか?
東京23区内は、エリアによって生活している人たちの特徴が全く異なり、価値観や悩みも違う。
それぞれの区に生息する夫婦が抱える、苦悩や問題とは…?
新しい夫婦のカタチを作る渋谷区夫婦/葵(30)の場合
「はあ、だいぶ寒くなってきたな…」
渋谷区の中心にいるとは思えないくらい、しんと静かな朝。ベッドルームの窓を開けると、心地よい風が通り抜ける。
まだ隣で眠っている夫の隆史を起こさないよう、そっとベッドから抜け出すと、キッチンで白湯を飲んだ。
代官山には数々の有名な高級マンションがあるけれど、私たちが住んでいるマンションが日本で一番家賃が高いらしい。
外からは見えないがマンション内には広い中庭があり、都会の騒がしさとは無縁の世界が広がっている。
「隆史さん、ヨガに行ってくるね」
「ん…」
昨夜は遅くまで会食だったせいか、いつもなら朝早く起きて筋トレをしている夫も、今日は起きてこない。
そんな彼を寝室に残して、私は近所の岩盤浴ヨガへと向かった。
隆史と夫婦になって、もうすぐ1年。でも正確にいうと、私たちは籍を入れていない。いわゆる“事実婚”を選択したから。
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