【水智さんの回答②】“地域相場”を見極めて中古マンションを買うのが賢い選択!
水智さん曰く、中古マンションを検討する際に多くの人が気にするのが資産価値の下落率だ。
物件の築年数が古くなればなるほど、将来的に売却する際の評価額が購入額を大きく下回ることを懸念し、なかには中古物件を避け、新築物件のみを検討する人も多い。
しかし、それは大きな勘違いだと水智さんは言う。
「そもそも新築マンションの価格設定は需要と供給で決まっているわけではありません。土地の取得費用や建材費といったコストに加えて、企業の収益を考えて設定されている。
では、その価格が中古として売り出す時に反映されるかというと話は別です。新築の価値は買った瞬間に2割下がるというのは定説ですが、程度の差こそあれ新築から中古になった瞬間の値下がりが大きくなりやすいのは事実です」(水智さん)
一方で“中古物件の価値は市場の需要と供給の相場”で決まる。
「もっとわかりやすく言うと、中古物件の価値の下落率というのは、“築年数が古くなればなるほど小さくなる”とされています。一般的には、築20年とか25年を超えてくると建物としての下落率はほぼゼロとなってくる。
そして中古マンションの価値の構成要素として何より大きいのが立地です。どの街にあるのか、駅からどれくらいの距離なのかというところが築年数よりも大きく影響する。立地8割、築年数を含むその他の要素が2割で決まると考えてもいい。
こうした資産性を保つ条件を満たす物件を選びさえすれば、中古物件であっても資産価値の下落率を限りなく低く抑えることが可能なんです」(同)
ただ、中古マンション選びの怖いところが「立地8割、築年数を含むその他の要素が2割 」で決まる相場価格に対し、あるモノが加味され、多くの人が知らず知らずに損をしているという点だ。
◆中古マンション探しで多くの人が陥る『落とし穴』
中古マンションの相場価格に加味されるモノとは何か――。
それは売主が少しでも高く売りたいという思惑だ。
「中古物件の価格は売主が仲介業者による相場のアドバイスを受けつつも、最終的には自由に設定することができます。1〜2割高く売られていることは決して珍しくなく、今回の相談エリアの場合、相場より1,000万円以上高く販売されているということもあります。
とくに昨今のような売り手市場では、相場よりも高く売る“割高物件”が相当数存在します」(水智さん)
当然のように、そうした実態を仲介業者はいちいち客には伝えない。客側も売値が相場価格よりも割高なのかどうかを自分で判断することは難しい。
結局、いかに資産性を保てる条件の揃った物件や下落率に配慮した物件を選んでも、最初から1〜2割の含み損を抱えて購入する人は多いという。
「逆に考えれば、相場価格よりも割安な物件を見つけることができれば、相場以上の資産価値を手に入れることになります。
中古マンション選びでは、資産価値の高い物件を選ぶ『何を買うのか』という視点も重要ですが、相場価格に対して『いくらで買うのか』も非常に重要と言えます」(同)
水智さんは顧客の条件に対して資産性を保つ物件を探してくるだけでなく、こうした相場のリサーチ結果の提言も欠かさない。不動産購入の経験がなく、知識がゼロの人にとっては、何とも心強い味方である。
しかし、いくら水智さんでも、相談者である奥沢さんの“憧れられる家に住みたい”という要求に応えることは難しいのではないだろうか。
この問いへの、水智さんの答えは??