どうしたら、女として見てくれるの?
順風満帆な陽菜の人生に、影を落とすもの。
それは夫の康明との冷えきった関係だった。
流通業の企業に勤務する康明の稼ぎは、陽菜の年収の3分の1程度。30代前半の康明の年齢からすれば、年収800万円は御の字だろう。
しかし、2,500万円を稼ぐ陽菜から見れば、康明の年収はどうしても「物足りない」と思ってしまうのもまた事実だった。
実際に、自宅の分譲マンションは1億円を超えるが、陽菜の名義で購入したもの。夫だけの年収では、おそらく審査を通ることすらできなかっただろう。
そして、年収格差以上に陽菜を悩ますこと…。
それは、2人目を出産してからというもの、明らかに康明は陽菜に“女性としての関心”を失っていることだった。
陽菜は3歳下の康明と5年前に結婚。現在は、4歳と2歳の息子のママとして、子育ての真っ最中だ。
例えば、陽菜がヘアスタイルを変えたとき。
「ねぇ、今日は美容院に行ってきたの。髪型、どうかな?」
「…うーん、いいんじゃない?」
「……そう、ありがとう」
陽菜がヘアスタイルを変えても、新しい服を買っても、康明から気づくことも何かコメントをしてくれることもない。
そればかりではない。結婚記念日や陽菜の誕生日にお祝いをしてくれることも、すっかりなくなっていた。
今年も陽菜からバレンタインプレゼントを渡したにもかかわらず、康明からのホワイトデーのお返しはなかった。
もちろん、夜のお誘いも皆無だ。
「ごめん、今日は疲れているんだ」
「明日の朝早く家出ないといけないから、もう寝ないと」
こんな言葉ばかり言っては陽菜を拒絶し、康明が陽菜に関心を示さない毎日が続いていた。
流通業で休みが変則的な康明は、陽菜とは休みが週に1日しか合わない。そのことも陽菜を不安にしていた。
仕事で夜遅くに帰宅することも多く、出張も多い康明。そんなふたりの関係は、陽菜の友人に心配されることもしばしばだった。
「康明くん、背が高くて格好いいし、職場の女性からモテそう~」
「陽菜、旦那さんの浮気とか気をつけた方がいいよー。お金も子どもも、全部陽菜任せだし」
友人の忠告を聞いたとき、陽菜は笑いながらも「大丈夫だよ~!」と返していた。
しかし、ある日。
陽菜がいつものように帰宅しポストをのぞくと、そこには見覚えのない住所からのハガキが入っていた。
この記事へのコメント
子供のためなのかな。
うちも私が夫より稼ぐけど、夫がそのことに卑屈になったらめんどくさいし、分かってて結婚したよね?と思う。
嫌なら転職してでも年収追いつく努力すれば?
浮気してる場合じゃないでしょ。
離婚した方が良いのでは…😥