
富裕層が本当に好む家とは?都心マンションライフにいま異変が起きていた!
マンションデベロッパーの現場担当者が見た!低層マンションを選ぶ人たちの傾向
坂根さんの意見を受け、実際に低層マンションの新築物件や、リノベーションを多く扱う『コスモスイニシア』の倉島将太さんに、低層マンション暮らしのリアルを聞いてみた。
――実際に、低層マンションの需要は伸びていますか?
「顕著な流れとしてあるか?というと、そうではないように感じます。
都心のタワーマンションを所有しながら、ご自身は別のエリアの低層マンションにも住んでいるという方もいるので、『住み替える』というよりは『両方所有している』方も多いといった印象です。
タワーマンションは多忙な時の都心生活、低層マンションはちょっとオフでゆっくりなど、というように、家を買う目的は個々人によって異なるように思います」(倉島さん)
――低層マンションはタワマンより安い?高い?
「同等の広さを求めた場合、低層マンションは、敷地の広さに対して部屋数が少なくなるため、タワマンより高額になることもありますね。
そのため、地価が高騰している高級住宅地と呼ばれるエリアにある低層マンションは億単位での取引が常態化し、富裕層の方のための物件になっていると言えるでしょう。
ただ、タワマンも建てるためには広い土地が必要ですし、一般的な建築基準に加え、公開空地を設けたりなど建築許可の条件が厳しかったりもします。それに、共用部が充実していて眺望がよいというメリットもあります。
なので、タワマンのほうが低層マンションより劣っているということは決してありません。好みの問題だと思います。
先ほども言いましたが、個々人のライフスタイルに合わせて両方所有する、というのがイマドキの富裕層の傾向なのかもしれませんね」(同)
――アッパーサラリーマンとして働いていた層が年齢を重ね、こだわりの家を求めて低層マンションに住む。そういう流れは定説としてありますが、低層マンションのメリットは?
「その方のライフスタイルによりますが、住まう立場から見たメリットは、暮らしやすさにあるでしょう。
エレベーター待ちなどの余分な時間も少ないので、時間をロスせずに済みます。
また、低層マンションでは駐車場が自走式の平置きタイプで用意されている場合も多く、大きな車でも置くことができるのも大きなメリットです。
タワマンだと立体駐車場の場合が多く、富裕層が好む車幅が広く車高が高い車が入らず、数少ない平置き駐車場の順番待ちが大変、なんてことがありますから。
また、高級エリアの低層マンションは部屋の面積に余裕がある場合も多く、ゆとりのある間取りにプランニングが可能な物件が多いことも魅力です。
さらに、戸数が多くさまざまなバックグラウンドを持つ方が多いタワマンと比較して、居住者の層が近い方が多いようにも感じます。
もちろん、そうした面も含めて、低層マンションは相対的に高価にはなります。タワマンには無い周辺環境や居住空間を買う、ということになりますから」(同)
――これまでのご経験から感じた、低層マンションに住む方の傾向は?
「もともとそのエリアにお住まいの方、受け継いだ財産がある方、一定以上の所得がある方……つまり、お金とともにしっかりとしたバックグラウンドがあるセレブリティが多いように思います。
タワマンは節税のために購入するというお考えもあるかもしれませんが、シンプルに住み心地を求めて低層マンションに暮らす。
これが、心的にも金銭的にも余裕がある方ならではのライフスタイルなのかもしれません」(同)
タワーマンションと低層マンション、2つを住み分けることで人生に幅が生まれることが、坂根さん、倉島さんへの取材によって判明した。
では、今まさに住むべき低層マンションとは――?