昨年も様々なニュースが世間を賑わせたが、肉好きにとって、とくに印象深かったのは“牛レバーの生食禁止”ではないだろうか。
あるわけがないとわかっていても焼肉店でメニューを開くたび、無意識にレバ刺の文字を探してしまう。たいていは黒マジックやテープで目隠しされていて、その“痕跡”を見るたびになんとも切ない気分になる。
生肉ストレスが爆発しそうになったとき、私が決まって駆け込むのが、新宿の『鳥茂』だ。店名に“鳥”とあるが、新鮮な豚もつがウリで、にんにく醤油と卵にからめて食べるもつ刺を身体が無性に欲するときがある。だから、東中野に『鳥茂』出身の主が営む豚もつの店があると聞いたときは、文字通り心が躍った。
『大成』の店主・宮城大成さんは、『鳥茂』で10年間修業を積み、豚もつの扱いかたを習得し、40歳のときに独立。紀州備長炭で焼き上げる串物も美味だが、フレッシュなチレやブレンヅ、タンにハツなどを、赤穂の塩か漬けダレで食す内臓の刺身は生肉好きの心をシビれさせる。牛の刺身同様、いや、それ以上のポテンシャルを秘めた豚もつの躍進に期待したい。
小寺慶子の「次くる肉!」
あふれる“肉愛”を胸に、 肉のニュース店をご紹介
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