私の年下くん Vol.2

食事会の初対面でにらんできた銀髪の年下男。彼が必死になって女に要求した“お願い”とは?

「彼は、守谷颯です」

颯は、渋々といった感じで目線を落としてボソッとつぶやく。

「…颯です。よろしくお願いします」

「こいつ、普段はもっと愛想いいんですよ。こういう食事会に来ることがあまりなくて、緊張しているんだと思います」

― 守谷颯…。うん、確かそんな名前だった!やっぱりそうだ。

確かめるようにまじまじと颯の顔を見ると、彼に視線をパッとそらされた。



私は先週、スポーツ部の先輩記者が担当する取材に同行していた。

その取材とは関東近郊にある、年間順位1位の常連で有名なクラブチームの試合だ。サッカースタジアムに足を運ぶのは初めての経験で、テレビでもサッカーの試合中継を見たことがない。

「スポーツは、実際に見ることが一番の勉強になるんだよ」と、先輩に半ば強引に連れて来られた。もちろん、ルールはさっぱりわからなかった。

それでも、選手から発せられる熱や、サポーターの地響きのような声援には鳥肌が立ち感動したのだ。

“守谷颯”は確か、後半15分に選手交代をして、ピッチに一礼をしてから勢いよく飛び込んできた選手だ。派手な見た目に反して、敬意を払いながら試合に臨む姿は好印象だったのでよく覚えている。

その彼が、今、私の目の前に座っている。


「こいつ、こう見えてまだ21なんですよ!」

「えーっ!?でも、21歳にしては落ち着いて見える…ね?多佳子?」

黒木さんと美智子は、颯の年齢の話で盛り上がっている。

「う、うん。でもあれだね、肌とかツヤツヤしてて…いいなあ」

まだ少年と青年の間といった印象の颯は、21歳。ということは、私よりひと回りも年下だ。そんな年齢の男性とは、仕事以外で関わったことがない。

気の利いた返しをできずにいると、見かねた黒木さんが話題を振ってくれた。

「お2人は、テレビ局勤務で同期なんですよね?」

「うん。でも、多佳子はこの間、スポーツ部に異動してきたばかりなの」

「そっか。それなら今後、僕たちともいろいろと接点があるかもしれないですね」

黒木さんは、大人な態度で会話を続ける。

「そうそう、多佳子。黒木さんはスポーツブランドの会社でPRを担当してるから、仕事で一緒になることがあると思うよ」

2人は仕事で何度か顔を合わせたことがあるらしい。会話も弾んでいる。

だが次の瞬間、美智子が口にした質問に空気がピリリとした。

「あ、そういえば颯くんも黒木さんと同じ会社で働いてるの?」

颯のことを知らない美智子に悪気はない。それをわかって、黒木さんがゆっくりと答えた。

「いや、颯はプロサッカー選手なんですよ」

この記事へのコメント

Pencilコメントする
No Name
颯の態度の悪さや、日本語をきちんとしゃべれないところとか、最初から決めつけすぎ!だからはい!とか無理矢理連絡先渡す所など、歳下とか関係なく印象悪い。
他の小説のように、イライライライラする展開になっていきそう。
2021/11/11 05:1760返信4件
No Name
颯はない。緊張していたにしても、あんなぶっきらぼうな態度とか無言で食べるとか、ちょっとどうなの?
2021/11/11 05:3245返信3件
No Name
21歳かわいい。
サッカーはプロでも恋愛はビギナー?
今までにあまりない関係でこの先が楽しみです。
2021/11/11 05:3143返信3件
No Name
年齢に勝手に振り回されたのは私だけだった。
横でスヤスヤと寝息を立てる颯を見ながら私は少し膨らみが目立ってきたお腹をなでるのだった。

fin
2021/11/11 06:1839返信1件
No Name
食事中何の会話もなかったのにいきなり気に入ったから連絡先交換したいとか話が強引過ぎ。
これは颯の問題じゃなくて完全に作者の問題。
2021/11/11 06:1437
もっと見る ( 37 件 )

【私の年下くん】の記事一覧

もどる
すすむ

おすすめ記事

もどる
すすむ

東京カレンダーショッピング

もどる
すすむ

ロングヒット記事

もどる
すすむ
Appstore logo Googleplay logo