絶食系女子 Vol.5

「彼には、絶対言えない…」女が4回連続でお泊りデートを断った、本当の理由とは

今の自分に恋愛はいらない


そして、金曜日。

彼は私の好きなパティスリーのケーキとシャンパンを持って、19時ごろにマンションのインターホンを鳴らした。

それに比べて私は、料理ひとつ用意していなかった。仕事は、17時ごろに終わっていたというのに。

「夕飯はウーバーで頼む?あ、でもこの時間ならまだお店やってるよね、どっか食べに行く?今日は、沙羅に早く会いたくて、お昼も食べずに爆速で仕事終わらせてきたよ。ケーキ、モンブランかアップルパイか迷ったけど、モンブランにしたよ」

どこか気まずい空気を察してか、彼が沈黙を埋めようと一人で喋っている。私はそんな彼の姿を見ていられず、重たい口を開いた。

「……大和。夕飯の前に、ちょっと話さない?」

ケーキとシャンパンを冷蔵庫にしまっていた彼が、ゆっくりとこちらを振り向いた。

少しの間を置いてから、冷蔵庫が閉まる「パタン」という音が静かな部屋に響く。

彼は神妙な面持ちで、私の座るソファにやってきた。

「……別れ話?」

隣に来た途端、彼が確信をつく。私は、違うともそうだとも言えず、うつむいた。

「沙羅、他に好きな人ができたの?」

彼の言葉を「違う」と否定する。心なしか、彼は少し安堵したような表情を見せた。

「……大和のせいじゃないの。大和は何も悪くない。私が、ダメなの」

つぶやくように言うと、彼は眉をひそめる。張り詰めた雰囲気に、部屋の温度がどんどん冷えていく気がした。

「大和のことが嫌いとか、そういうのじゃなくて。誰かと恋愛すること自体が、めんどくさくてしょうがないの」

自分の気持ちをストレートに伝える。うまく言語化することはできなかったが、嘘偽りない、今の私の本当の思いだった。。

「俺のこと、もう好きじゃないってこと……?」

大和の声が震えている。私はためらいながらも、しっかりとうなずいた。

その後、2人の間には長い沈黙が流れる。

彼は何かを言いかけては黙り、私も同じように何かを言いかけては黙り込んだ。

伝えたいことは山ほどあるけれど、これ以上話しても結果は同じだということを、きっとお互いにわかっていた。


「……俺は、まだ沙羅のことが好きだよ」

長い沈黙を破った彼の目には、涙がにじんでいる。その顔を見て辛くなるが、私はただうなずくことしかできない。

「……でも、もう仕方ないよね。沙羅、今までありがとう」

彼は私に背を向けて荷物をまとめ、そっと部屋を出て行く。

4......


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