絶食系女子 Vol.5

「彼には、絶対言えない…」女が4回連続でお泊りデートを断った、本当の理由とは

恋愛に割く時間が無駄


「沙羅、それってただの倦怠期じゃない?あ、大和さん真面目すぎて飽きちゃったとか?他の男紹介しようか」

「いや、新しい出会いが欲しいとかも全然思わなくて……恋愛する気が起きないんだよね」

私は、学芸大学駅近くの自宅に女友達を呼んで手料理を振る舞っている。

今日のメニューは、鯛のアクアパッツァと、じっくり煮込んだスペアリブ、具だくさんのコブサラダに、自家製のふわふわちぎりパン。

友人が喜んでくれるのが嬉しくて、いつも作りすぎてしまう。

「大和は、付き合ってから4年も経つのに、扱いも全く雑にならないし、色んなところに連れて行ってくれるんだけどね」

「え~そんなの最高じゃん!なんで好きじゃなくなっちゃったの?」

友人の言葉に対し、私は腕を組んで首を傾げ「うーん」とうなる。

うまく説明できる気はしなかったが、言葉を選びながら話してみた。

「去年の外出自粛くらいかな。会わないでいたら、すごくラクだなって気づいちゃったんだよね」

一度目の緊急事態宣言が発令され、私は家でじっと過ごしていた。大好きな友達に会えず、気軽に買い物や外食にも行けない。

実家に帰省もできない。

本当につらい期間だったが、大和に会えないことだけは、全く苦にならなかった。

そのうえ、“こんなご時世だから、積極的に出会いを求めなくても仕方ない”というような風潮が漂っていることに、どこか安堵している自分がいたのだ。

『もう、私も無理に恋愛をしていなくても良いのかもしれない』

そう思った瞬間、私の中で何かがプツンと切れた。

「男性と遊ぶよりも、一人で過ごしたり、こうやって同性の友達といるほうが楽しいなって思っちゃうんだよね。実は今まで、親からの圧とか世間の目を気にして、無理に恋愛してた部分が大きかったのかなって。

大和とも、『この人なら条件良いし、私に過干渉はしてこなそうだし』と思って付き合うことを決めたし……」

「正直、大和さんみたいな素敵な恋人がいて贅沢だなぁとは思っちゃうけど。女友達といるほうが楽しいっていうのは、私もなんとなくわかる気がするよ」

友人はスペアリブを食べながら、「そんなことよりコレめっちゃ美味しい」と笑う。

こういう気楽な時間だけが、私の人生に流れていてほしい。

デートのためにメイクをしたり、仕事の話にニコニコ相づちを打ったり、抱き合ったり……そういう、恋愛におけるコミュニケーションすべてが退屈で億劫に思えてしまう。

前から薄々気づいてはいたが、コロナ禍の世界で確信してしまった。

私に恋愛は必要ない。


「……本当にごめんね」

「いいよ、気にしないで。今日はゆっくり休んでね」

3週間ぶりのデートは、極力会話をしなくてもいい映画を選んだ。

本当は夜まで一緒にいて彼の家に泊まる予定だったけれど、途中で帰りたくなってしまい、体調不良を理由に夕方頃に解散した。

彼との......


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