2021.05.21
SPECIAL TALK Vol.80令和のニューリーダーたちへ
2025年に開催予定の「大阪・関西万博」の会場デザインプロデュースを手掛けるなど、国内外で活躍する建築家の藤本壮介氏。
建物単体のデザイン性だけでなく、周囲の環境や、そこで過ごす人びとになじんだこれまでにない体験ができる建築を生み出したとして、高い評価を受けている。
そんな藤本氏には、世間に認知されるまでに長い“潜伏期間”があった。
一般的な「建築事務所に勤務しての下積み」ではなく、たったひとりで建築に思いを巡らす。その期間は、なんと6年にも及んだ。
藤本氏の独創的な建築が生まれる源泉を探り、日本では見過ごされがちな人と建築との関係や、クリエイティブな活動に必要なマインドを明らかにする。
藤本壮介氏 1971年北海道生まれ。94年、東京大学工学部建築学科卒業。2000年、青森県の県立美術館設計競技に個人で出品し、優秀賞(第2位)を受賞。同年に藤本壮介建築設計事務所を設立し、若手建築家の登竜門「AR Awards」に05年から3年連続で入賞。主な作品にロンドンのサーペンタイン・ギャラリー・パビリオン2013をはじめ、《武蔵野美術大学美術館・図書館》(東京、2010)、《児童心理治療施設》(北海道、2006)、さらには《House NA》(東京、2011)、《House N》(大分、2008)といった個人住宅も手がける。建物の内と外に区切りがない、人と環境がつながるような設計を手掛ける。
金丸:本日は建築家の藤本壮介さんをお招きしました。お忙しいところ、ありがとうございます。
藤本:こちらこそ、お招きいただきありがとうございます。
金丸:今日の対談の舞台は、恵比寿の中華『わさ』です。シェフの山下昌孝さんは、仕込みも調理も試行錯誤を繰り返し、こだわり抜いた食材を使って、いかにおいしい料理として昇華させるかに心血を注いでいらっしゃいます。サービススタッフは全員ソムリエで、一皿ごとにペアリングを提案いただけるそうです。
藤本:料理も楽しみですね。料理と建築って、似ているところがありますし。
金丸:コンセプトがあり、こだわりがあり、設計・デザインがありますからね。
藤本:そうですね。ただうちは子どもがまだ小さいこともあり、今はいろいろなお店に行きづらい状況で。
金丸:それなら今日は存分に楽しんでいただければと思います。さて、藤本さんはその独創的な建築で、日本のみならず海外でもご活躍されています。実は、私は建築家に非常に興味を持っていまして。きっかけは、安藤忠雄さんです。
藤本:安藤さんには私も大変お世話になっています。
金丸:安藤さんのハーバード大学での講義を聞いて、しびれました。始まる前から学生たちが通路まで溢れかえっていて、講義は英語で話すのかなと思いきや、こてこての関西弁(笑)。でも、言葉なんて関係ない。
藤本:言語を超えて伝わりますよね。
金丸:しかも安藤さんは、大学には行かずに独学です。学歴に関係なく、才能だけで評価される建築の世界は非常に面白いし、興味深いですね。
藤本:安藤さんは独学ですけど、その勉強量は本当にすごいですよ。そこもまた、かっこいいんです。
金丸:建築は、建物自体のデザインも重要ですが、そこで人がどのように過ごすか、要はインターフェイスのデザインがさらに重要ですよね。
藤本:おっしゃるとおりです。自分で言うのもなんですが、インターフェイスのデザインは得意だと思っています。
金丸:素晴らしい。スティーブ・ジョブズはプログラムを書かなくても、iPhoneを生み出しました。それを可能にしたのは、彼にインターフェイスをデザインする力があったからです。しかし、日本ではデザインやインターフェイスの力が見落とされがちです。今日は藤本さんがどのように育ち、実力主義の世界をどのように生き抜いてきたのか、じっくりお話を伺いながら、建築やアートについて考えを深めることができればと思っています。どうぞよろしくお願いします。
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