マテリアル夫婦 Vol.8

妻に内緒で別宅を持つ35歳男。女と密会後、待ち構えていた意外な人物とは


マサル@秘密の別宅


胸騒ぎがするのは満月のせいだろうか。

窓の外を呆然と眺めていると、マミが物憂げに呟いた。

「月が、綺麗ですね」

マミに導かれ、バルコニーに顔を出す。月明かりに照らされた彼女は寂しそうな表情をしている。

妻の出産を間近に控え、そろそろマミを切ろうと思っていたところだった。彼女の小さな体を包み込むように後ろから抱きしめ、二人で夜空を見つめた。

「はぁ、エモい…」

生暖かい夜風に包まれ、エモーショナルな気分に浸っていると…。そんな僕らを引き裂くように、スマホのバイブレーションが激しく響き渡った。

― リカだ…。

妻がこんな時間に電話をかけてくることは珍しく、得体の知れない胸の騒めきを感じた。

「マミごめん、なんか緊急事態っぽいから帰るわ。またな、おやすみ」

マンションを出てから電話を掛け直そうと思い、駆け足で外に出ると、エントランスの前に怪しげな黒のワンボックスカーが停車していた。


ドアが勢いよく開き、無精髭を生やした清潔感のない男が目の前に現れた。

「マサルさ〜ん。お疲れ様です!女と密会っすか?」

そいつのニヤついた顔を見た瞬間、虫酸が走った。

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