夫の寵愛 Vol.8

「夫のことが信じられない…」結婚3年目の妻が、別居を決意した瞬間とは

大抵どんな夫婦にも、互いに“秘密”があるものだ。

『愛しているからこそ、全てを知りたい』

そう考えた一人の男がいた。

愛しすぎることは、罪なのか……?

◆これまでのあらすじ
料理教室を営む里紗は、最愛の夫・毅と幸せに生活していた。しかしふたりが付き合う前、毅は里紗のストーカーだったことが判明し…。

▶前回:夫が隠していた結婚前の秘密。全てを知った妻に、男が語った衝撃的な言い訳


「俺はただ里紗を愛してるだけなんだ。それをストーカーだって言われることが信じられない」

夫のその言葉を聞き、里紗の脳裏に“離婚”の二文字がチラついた。

いくら「愛しているから」と理由付けされても、毅がやっていたことは完全なストーカー行為だ。空間プロデューサーになったのも、共通の話題づくりも、すべて里紗のことを調べ上げた結果だ。

運命だと信じていたものは、実は仕組まれたものだったのだ。ずっと、ずっと、ずっと、騙され裏切られていたということになる。

うつむいて黙ってしまった里紗に、毅はいつもの優しいトーンの声で言った。

「困らせるつもりじゃなかったんだ。里紗に好きになって欲しかっただけなんだ…でも、ごめん…俺、重いよね?」

― 重い?ストーカーだったことを“重い”の一言で片づけるの!?ずっと、私のこと騙してたのに!?

思わず顔を上げると、泣きそうな毅と目が合う。いつもと変わらないのは彼の声だけで、感情的に涙を溜めている。

「俺は、本当に里紗のことが好きなんだ。君と出会うために、何でもしたいと思ったんだよ。だから会社を辞めて、それまでまったく興味がなかったインテリアの勉強を始めたし、師匠のもとで2年間みっちり修行もした」

たしかに、それは凄まじい執念だ。返す言葉がなかった。

「里紗と知り合いたくて、ただただ必死だったんだ」

だからこそ怖いのだ。怖いと感じてしまったのだ。そう伝えたかったが、なぜか素直に言うことができない。

【夫の寵愛】の記事一覧

もどる
すすむ

おすすめ記事

もどる
すすむ

東京カレンダーショッピング

もどる
すすむ

ロングヒット記事

もどる
すすむ
Appstore logo Googleplay logo