市川猿之助を魅了した、「中華の技のデパート」と評される名シェフの、渾身の一皿とは

何を食べるとか、決めるのがキライ。食べたい時に、食べたいものを、食べる。


フカヒレが好きだと聞いて、歌舞伎という伝統ある仕事に携わっている人だからこそ、一般人には敷居の高い名店を好むのではないかと思った。

ところが、彼が食事に求めるのは〝癒やし〞。その考えは、徹底している。


「1日3食というのが普通ですけど、僕は、〝食べたい時に食べる〞というスタンスです。

体が食べたいなって欲していると思ったら食べるけれど、食べたくないなら、食べません。体調管理とかで食事制限したりする人もいるけれど、苦痛なことはしたくないんです。

僕にとって食事をすることは、お風呂に入ったり、睡眠を取ったりするのと同じ〝癒やし〞。だからドレスコードがあるようなレストランや、食べ方を決めつけられるようなところにはわざわざ行きません。

何かを記念した会食とか特別な時を除いて、どこへ行くのも基本的にジャージですね。特別なイメージを持たれる方が多い京都のお茶屋さんでも、僕からすると特に行きたいとも思わない。

幼い頃からかわいがってもらった馴染みのところだけは、気楽だから今も行っている程度。美味しいものを食べてくつろぎたいのだから、それを受け入れてくれるところが好きです」

そしてついに、本日のメインである「フカヒレ姿煮込み」が登場すると、そのテンションも上がる。

「フカヒレ姿煮込み」。15,000円(※サ別)コースの中の一品で、写真は約500gで5人前(要予約)。別途オーダーでフカヒレを増量することも可能。


同店のフカヒレ姿煮込みは、モウカザメのフカヒレを使い、白湯で煮込んだもの。

鶏肉や骨を4、5時間かけて煮詰めたスープをベースにし、さらに清湯スープで割って煮詰めるという手の込んだ逸品で、濃厚でありつつもあっさりした後味に仕上がっている。

「フカヒレの姿煮って、お店によって味付けとか食感とかが全然違いますし、値段も違います。僕は中華の中でもこの料理が一番好きなんです。さ、どうだろうか?これなら何皿でも食べますよ(笑)」

アツアツの一口目を口にすると、「予想通りの美味しさです」とご満悦。

そして話題は、本業の歌舞伎へと移るのだった。




>>インタビューの続きは、明日の『後編』をお楽しみに!

名シェフの新店は、舌の肥えた大人を満たす最高峰の店だった!


今回、猿之助さんが訪れた『慈華』のメニューの中から、特におすすめの二皿をご紹介しよう。


特製の有田焼の皿に昇り龍をイメージして盛り付けられた「運気の上がる前菜盛り合わせ」。

左下から「豆腐干と紅心大根のネギ油和え」、「石川小芋のフルーツガーリック添え」、「ホタテ貝柱の自家製XO醤添え」など計8品。


11月から2月くらいまでの期間に提供される、冬場の看板メニュー「白子の麻婆豆腐」。

山淑の刺激が白子のクリーミーさでまろやかになり、深い旨みが感じられる。ともに15,000円(※サ別)コースより。


店内には、中国の磁器や書を配して、美しく、洗練された空間が演出されている。

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■プロフィール
市川猿之助 東京都出身。1983年7月に二代目市川亀治郎を名乗り、初舞台。慶應義塾大学文学部卒。2012年6月、初代市川猿翁、三代目市川段四郎50回忌追善興行で四代目市川猿之助を襲名。立役、女方まで幅広く活躍。伯父、二代目市川猿翁が手がけたスーパー歌舞伎をスーパー歌舞伎Ⅱとして発展させるなど、歌舞伎界を牽引する一人。

■衣装
シャツ 参考商品、スーツ 320,000円、ネクタイ 23,000円、シューズ 参考商品〈すべてエトロ/エトロ ジャパン TEL:03-3406-2655〉

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