5.2%の憂鬱〜妻からの挑戦状〜 Vol.6

「俺の稼ぎがないと暮らせないと思ってた」格下だと思っていた妻に、裏切られた男の悲哀

5.2%―。それは、日本国内で“妻の方が稼ぐ”世帯の割合。

「妻には、仕事を頑張ってもっと輝いてほしい」

笑顔でそう言いながら腹の底では妻を格下に見て、本人も自覚せぬまま「俺の方が稼いでいる」というプライドを捨てきれない男は少なくない。

そんな男が、気づかぬうちに“5.2%側”になっていたら…?

男のプライドが脅かされ、自らの存在意義を探し始めたとき、夫はどんな決断をするのだろうか。

◆これまでのあらすじ

妻の伊織が、夫である自分よりも稼いでいたことを知り、愕然とする新太。そんな中、ショックを受ける新太の目の前に“妻の理解者”であるという謎の中年女が現れて…?

▶前回:久々に顔を合わせた妻が、そんなことを言うなんて…。夫を凍り付かせた悲しすぎる事実


「一条さん、先ほどの件ですが…」

オフィスのデスクでぼんやりとしていた新太は、後輩の三上に声をかけられ、ハッとする。仕事中だというのに、うっかり伊織のことを考えていたのだ。

「ごめんごめん、すぐに対応する」

普段の新太は“溜める”ことが大嫌いだ。メールの返信もレビューも、パパっと終わらせる。だから、ぼうっとしている新太の様子を見て、不審に思ったようだ。

本当は、昨日あった出来事をすべてぶちまけたい気持ちだが、会社の後輩に洗いざらい話すのも気が引けるし、自分の中でも消化できていない。

「ちょっと体調が優れなくて。悪いな」

確認した書類を三上に戻すと、無理に作った笑顔でそう言い訳した。そして、それ以上会話が広がらないように席を立つ。

その足でオフィス近くのカフェまで出向き、甘めのラテを購入した。普段はブラックコーヒーしか受け付けない自分が、甘い飲み物を求めるなんて異常だ。

それくらい、昨日から自分はおかしなことになっている。それに油断していると、伊織と共に突如現れた例の女が脳内を占領するのだ。

新太はふと、彼女たちから投げかけられた言葉を思い出し、悔しさに耐えるように唇を噛んだ。

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