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  • 「何、このニオい…?」夫とのハグに違和感を覚える女。夫婦の危機を救った、意外なモノとは

    桜子の家は広尾の閑静な住宅街にある低層マンションだ。

    ホテルのようなモダンな外観にラグジュアリーなエントランスは、出がけに嫌な思いをしたことも忘れるくらい、うっとりと目を奪われてしまう。

    「お招きありがとうございます」

    「寒かったでしょう。コート、預かるね」

    出迎えてくれた桜子の言葉に恵麻はハッとして、玄関前で脱いだコートを隠すように抱えた。

    「あ、えっと、その辺に置かせていただくので、大丈夫です」

    「でも、シワになるでしょ」

    「だけど…」

    恵麻はバツが悪そうに、隣にいる佑人の顔を見た。すると彼は悪びれる様子もなく言うのだった。

    「コートが匂うって言っても、多少気になる程度だよ」

    「ちょっと…佑人!」

    恵麻は佑人の背中をツッコむように叩く。そんな二人を桜子は優しい目で見ている。

    「匂いなら大丈夫。『LG styler』にかけるから気にしないで」

    『LG styler』って、この前言っていた…」

    「そう、これこれ」


    桜子はリビングに置いてある『LG styler』へと恵麻を案内した。

    「この中にコートと…佑人くんのジャケットも入れておきましょう。帰るときにはその意味が分かるはずよ」

    デザイナーズ家具で揃えられたインテリアに溶け込んだ、オシャレなフォルム。その中に恵麻のコートと佑人のジャケットがしまわれた。

    ーあの中に入れるだけで、どんな効果が出るんだろう?

    恵麻は期待に胸を膨らませて待つことにした。



    美味しいワインのお供は、桜子の夫の手料理だった。スペアリブに自家製ドレッシングのサラダ、ピクルスも手作りでどれもワインに合うものばかり。

    「美味しそう。みんなご主人が作ったんですか」

    「そうなの。料理大好きだもんね」

    「食いしん坊の桜子が美味しそうに食べているところが好きでね」

    「もう!」

    桜子夫妻の笑い声に、恵麻と佑人も自然に笑顔になる。

    久々の友人同士での会食ということもあり、時を忘れるほど盛り上がり、気づけばあっという間に時間は過ぎていた。

    「…あ、こんな時間。そろそろお暇しなきゃ」

    長居してしまったことを詫びながら帰り支度をしていると、桜子が『LG styler』からコートを取り出し、どこか誇らしげな表情で恵麻に渡してきた。

    「ありがとうございま……す!?」

    手に取った途端、恵麻の鼻を清潔感のあるすっきりとした匂いがかすめる。

    「いい匂い…。シワも取れてるし、ファーも復活してる!」

    「そうなの。しかも、『LG styler』は、パンツのセンタープレスもできるし、消臭・除菌効果も抜群。枕や毛布なんかにも使えるのよ。それに…」

    桜子は、こっそり恵麻に耳打ちしてきた。

    「服についた男性特有の匂いもね、これに入れておけば取れるのよ」

    パーティー中もずっと笑顔で仲良さそうにしていた桜子夫妻の姿と『LG styler』のことが、帰りのタクシーの中でも頭から離れなかった。

    ―手軽にお手入れできるから、心にも時間にも余裕ができて、いつも笑顔でいられる…。だからこそ桜子さん夫妻はいつまでも恋人同士みたいなんだろうな…。

    移りゆく車窓の夜景を眺めながら、恵麻は想いを馳せる。そして、ふと無防備な表情で居眠りをする隣の佑人の顔を見た。

    ―あんな夫婦に、なりたかったんだけどな…。



    ー数日後―

    出社日だった恵麻が帰宅すると、寝室にはなぜか佑人がいた。

    「あれ?佑人今日は早いんだね」

    「あ、うん、ちょっとね」

    佑人は異様に慌てて寝室から出てきた。異変を察知した恵麻は強引に中に入るなり、自分でもびっくりするくらい大きな声を出していた。

    「これ…どういうこと!?」

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