イケメン中毒 Vol.1

イケメン中毒:私が男に求めるのは顔だけ。超絶イケメンに溺れる年収2,000万の女を襲った悲劇

完璧な美女の弱点


「良い調子ですね。前回と同じお薬でいきましょう」

花村菜摘(はなむら なつみ)、33歳。表参道にある美容クリニックで、皮膚科医として働いている。

菜摘は、平日の10時~19時の診察を担当していて、休日出勤はない。激務だった研修医時代とは比較にならないほどワークライフバランスを保った生活を送っているが、それでも年収は2,000万を超える。

最近は、以前に比べて比較的安価に美容医療を受けることが出来るため、クリニックは毎日大盛況だ。

いまや、美意識の高い女性の間で美容医療は当たり前。女性は若い頃からケアしているし、男性も脱毛や皮膚のお手入れをしている。

もちろん菜摘自身も、美容には熱心だ。美容クリニックで働く以上、自分自身が美しくいなければいけないと思っている。

今年で33歳になるが、入念に手入れされた肌はきめ細やかで、シミ一つない。元CAの母親譲りの整った顔で、雑誌に掲載されることもある美貌なのだ。

美貌に経済力、そして社会的地位。それだけでも圧倒的に恵まれているのに、超イケメンの年下彼氏までいる。完璧すぎる彼女の人生だが、菜摘にはある弱点があった。


-うわっ、すごいタイプ…。

菜摘は、診察室に入ってきた男性にドキッとした。

現れたのは、身長はそれほど大きくないものの、クリっとした目が可愛らしい童顔の男性。どこかのアイドルグループに所属していてもおかしくないルックスだ。

患者の容姿にいちいち気を取られている場合ではないと分かっているのだが、菜摘は研修医の時代から、格好いい男性患者が訪ねてくるたびに気分が高揚する。

研修医の頃、当時の指導教官に「露骨すぎ」と注意されてから気をつけてはいるのだが、反射的に反応してしまうのだ。

目の前に座った彼は、美容レーザーを希望しているという。菜摘は診察を進めていき、赤みを消したいとのことだったので、それに合うレーザーを処置することになった。

診察している間も、油断すると「ああ、かっこいい」などと本音が漏れてしまいそうだ。気を引き締めて、診察にあたる。

そう。彼女の弱点は、“イケメン”に弱すぎるところなのだ。小さい頃からとにかく面食いで、イケメンが大好き。

診察を終えた菜摘は、電子カルテに書き込みながら、つい先ほどの患者の名前を確認してしまう。

-りょうすけっていうんだ。

患者の名前が、自分の恋人と同じだということに気づき、今朝見たばかりの寝顔を思い出してにやけてしまった。彼が家で待っているかと思うと、早く家に帰りたくてたまらない。

時計は17時を回ったところ。帰りに、涼介の大好きなクロワッサンを買って帰ろう。明日の朝、嬉しそうに頬張る彼の顔を思い浮かべながら、次の患者を呼んだ。

この記事へのコメント

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No Name
もらったものおいてくプライドはないんかーい!!
顔はイケてても行動ダサいよ
2020/12/05 06:2199+返信6件
No Name
え?さんざん高級品買ってもらってから出て行くんだ、顎クイ君(笑)
注意されるほど露骨なのはみっともないが、お金はあるんだし美形にしか興味なくても別に困らないんじゃないかな。あまり広がらなそうなテーマだな‥‥。
2020/12/05 05:2999+返信1件
まあ
3ヶ月ホストに貢いだと思えばいいんじゃないでしょうか? 彼に満足してたんですよね。
2020/12/05 05:2373返信1件
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