2020.12.05
イケメン中毒 Vol.1人は見た目より中身が大事。そんなこと、誰だってわかっている。
だけど美しいものに心奪われてしまうのは、人間の本能なのだ。
美人女医・菜摘もしかり。彼女が男に求めるのは、お金でも性格でも価値観でもない。
-イケメンは正義。
そう言い張り、イケメンに夢中になる女の人生は、次第に狂い始めていく…?
-なんて美しい顔なんだろう…。
目を覚ました菜摘は、隣で眠る涼介の顔をうっとりと見つめる。
毎朝5分間の幸福タイム。彼の美しい寝顔を見るためだけに、目覚まし時計を5分早くセットしているのだ。
すっきりしたフェイスラインにスッと通った鼻筋。ハリのあるきれいな肌や長いまつ毛に、ほんのり赤い肉厚の唇。
彼の横顔を見つめていると、今日も頑張ろうというエネルギーが湧いてくる。
朝起きるのは苦手だったはずだが、俳優顔負けのイケメン彼氏・涼介と一緒に眠り始めてからは、寝起きもすこぶる良い。
「…よく眠れた?」
目を開けた涼介は、おもむろに菜摘を抱き寄せた。彼の胸に顔をうずめると、爽やかながらもトロンと甘い香りが鼻腔をくすぐる。
油断すると理性が吹っ飛びそうだ。だが自分は仕事に行かなければならない。菜摘は、一生このまま抱かれていたいという欲望をぐっと堪えて、彼の腕から離れた。
「じゃあ、行ってくるね」
出勤の準備を終えて玄関に向かうと、涼介がそこに立っていて、行く手を阻んだ。そして、菜摘の顎を指でクイッと持ち上げてキスをする。
「行ってらっしゃい」
ああ、幸せな朝。菜摘は、弾むような足取りでオフィスへと向かった。
注意されるほど露骨なのはみっともないが、お金はあるんだし美形にしか興味なくても別に困らないんじゃないかな。あまり広がらなそうなテーマだな‥‥。
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