ネイビーな妻たち Vol.2

“名門私立小”への切符を手に入れるために必要なのは、ツテかお金かそれとも…!?



表参道の裏道り、隼人の手を引き歩く京子の後方を、春樹は仏頂面のまま付いてきた。だが、今日の親子面談、京子は大して心配をしていなかった。何しろ外面だけはいい夫なのだ。きっと東山先生の前では人が変わったように、良い父、良い夫をアピールするだろう。

「いつも隼人がお世話になっております」

春樹は礼儀正しく挨拶をした。

面談は京子があらかじめ提出しておいた「ご家庭調査シート」に従って進められた。記入したのは、両親の出身校、職業、子供の性格や好きな遊び、そして、志望校など。教室の隅には、知育玩具やクレヨンが準備され、隼人は大人しく遊び始める。


「第一志望は慶應幼稚舎、第二志望は青山学院初等部ということですね?」

東山先生は、にこやかな笑みを浮かべ、シートの内容を一つ一つ確認していった。

「お二人とも出身大学の系列校ではないようですが、何か理由はありますか?例えば、学校の方針に共感したとか、見学してこういうところが良かった、とか」

東山先生の問いに京子が答える。

「主人の希望なんです」

「ちなみにツテはおありですか?」

春樹は明らかに戸惑っていた。すると東山先生は付け加えるように言った。

「例えば、卒業生や在校生の親御さんでも構いません。願書にその小学校を希望するちゃんとした理由を書く必要があるからです」

その後、東山先生から小学校受験における父親の役割について説かれた春樹。帰り際にはすっかり意気消沈していた。

「ツテかぁ。なんなら志望校変える?それか京子が大変ならお受験やめてもいいぞ」

相変わらず身勝手な発言に、京子は半ば呆れながら返す。

「変えるなら、私の出身校の早稲田の付属校とかね。いずれにせよ難関校だけど」

そう言って、春樹の方を見ると口元を歪めているのがわかる。

―嫌味ったらしい女だな。

春樹の顔にはそう書いてある。

「お受験したいと言い出したのは、あなた。今更やめるなんてありえない」

京子は前を向いたまま、ぴしゃりと言い放った。

「ツテがないのは仕方がないわよ。でも、ないなりのやり方があるんじゃないかしら?」

「例えば?」

春樹は自分の都合が悪くなると、人に意見を求める。

「ある程度お金をかけて隼人をキラリと光る子に育てあげるしかないと思うの」

「どうやって?」

春樹が怪訝そうに尋ねる。

この記事へのコメント

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No Name
やっぱり旦那様のレベルが低い、しかも性格も悪い、なんでこんな男と結婚したんだ?
2020/12/04 05:4599+返信3件
No Name
旦那の頭と性格が悪いですね。
2020/12/04 06:2899+
No Name
京子しっかりしてる

それに比べて旦那は・・・

まあ、お釈迦様の手のひらの上だな!
2020/12/04 05:3192
No Name
旦那さんどう見ても乗り気じゃないし、もうやめたら?って感じがしてきた。良いところに住んでるんだし公立でも充分だと思うのは庶民の発想かな〜。
2020/12/04 06:5182返信13件
No Name
とりあえず東山先生にダンナを仕上げてもらわないとな
2020/12/04 07:1238返信1件
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