本命昇格・虎の巻 Vol.2

誰にも秘密で、年上女のマンションに呼び出され…。ドアを開けるなり、男が女からされたコト

連絡はろくに返してもらえず、相手の好きな時にだけ呼び出され、用が済んだら追い返されるー。

そんな「都合のイイ関係」に苦しむ男女。

好きになった方が負け。結局そのままズルズルと振り回され、泣きを見る者が大半だろう。だけどもし、そこから形勢逆転する“虎の巻”があったなら…?

坂本なつめ(28)は、幼馴染の宮本蓮が大好き。でも彼はある女性の「都合のイイ男」にされていた。

なつめは好きな男のために、一肌脱ぐことを決意する。

諦めないで。私が本命になる方法を伝授しましょう。

◆これまでのあらすじ

なつめは、取引先の社長・マイコに話の流れで「幼馴染に片思いしている」と言ってしまう。その恋をアシストしたいというマイコに押し切られ、蓮とマイコの3人で食事に行くことになってしまい…。

▶前回:さんざん弄ばれたけど“都合のイイ関係”を脱却したい…28歳女が教える必勝法


「お疲れ様ですぅー」

『Empire Steak House Roppongi』にコツコツと響くピンヒール。マイコさんが語尾を上げて現れた。

「初めまして、桂マイコですー!今日はうちのわがままで来てもらって恐縮です」
「宮川蓮です」

私は名刺交換する二人をにこにこ眺めながら、その実ドキドキが止まらない。

マイコさんは私が蓮を好きだと知っている。

加えてあの時マイコさんにうまく乗せられて、「彼も私を好きなんじゃないかなって思うんですよね、だって私以外の女子と会わないっていうんですよ」とも口走ってしまった(今思えば軽率すぎた)。

マイコさんは「うちに任しとき!絶対なつめちゃんと蓮くんくっつけたるから」と豪語していたが、現実としてこの会が幕を開けてみると、どうでしょう。私は猛烈に、後悔の念に駆られていた。

ー彼女が何か、まずいことを言ったらどうしよう。例えば私が蓮を好きだとか…。

私も私だ。28歳にもなって人の手を、しかもクライアントの手を借りようとするなんて、完全に関西パワーに押されてしまった…。

「ね、なつめちゃん聞いてる?」
「へ?」

思考回路の渦に溺れてあっぷあっぷする私を、少しハスキーな声が現実に引き戻した。

「蓮くん、うちの会社のこと知ってくれててん!嬉しいわあ」

声を弾ませるマイコさんに、蓮は居心地悪そうに姿勢を直す。

知っていて当然なのだ。だってマイコさんのプロフィールは、会食が決まった段階で蓮に吹き込んでいる。

とはいえそんなネタバレをしても仕方ない。

「すごい売れてますもん、『アイム・アフロディーテ』のファンデ」

私は満面の笑みで、そう返したのである。

【本命昇格・虎の巻】の記事一覧

もどる
すすむ

おすすめ記事

もどる
すすむ

東京カレンダーショッピング

もどる
すすむ

ロングヒット記事

もどる
すすむ
Appstore logo Googleplay logo