
本命昇格・虎の巻:さんざん弄ばれたけど“都合のイイ関係”を脱却したい…28歳女が教える必勝法
連絡はろくに返してもらえず、相手の好きな時にだけ呼び出され、用が済んだら追い返されるー。
そんな「都合のイイ関係」に苦しむ男女。
好きになった方が負け。結局そのままズルズルと振り回され、泣きを見る者が大半だろう。だけどもし、そこから形勢逆転する“虎の巻”があったなら…?
坂本なつめ(28)は、幼馴染の宮本蓮が大好き。でも彼はある女性の「都合のイイ男」にされていた。
なつめは好きな男のために、一肌脱ぐことを決意する。
諦めないで。私が本命になる方法を伝授しましょう。
「あのね。今の君は、ただの都合のいい男だから」
私の言葉に、蓮はぴくりと身をすくめた。
「セカンドでもサードでも、フォースですらない。好きな女性に連絡を返してもらえず、都合のいい時だけ呼び出されて、用が済んだら追い返される、有象無象の1人です」
「有象無象……」
呆然と繰り返す蓮に、私は「その他大勢と言い換えても可」とダメ押しする。がっくりと肩を落とす姿を横目に見ながら、半分残っていたシャンディーガフを一気にあおった。
こんな状況、飲まなきゃやってられない。
「…でも、“彼女”に本命がいないなら、望みはまだある」
テーブルと同一化しそうなくらい沈んでいた蓮が、今度は勢いよく顔を上げた。目がキラキラと輝いている。
この男、今はこんな情緒不安定ですが、普段は感情の起伏をほとんど見せないんですよ。
恋をして、好きな人を手に入れたくて、必死なんだなあ。やり切れない気持ちを、私はため息にして吐き出した。
「私が蓮に、『本命昇格・虎の巻』を伝授してあげる」
全く何が悲しくて、敵に塩1トン送るような真似をしなくちゃいけないんだ。好きな男が他の女と成就できるよう、力を貸すなんて。
でも、何でこんなことになったのかと振り返れば、2カ月前。
あんな綺麗な人に蓮を引き合わせてしまった私、坂本なつめが原因なのである。
この記事へのコメント
すんごいネーミング…