溺れる男~理性と本能のあいだで~ Vol.3

「こんな屈辱は初めて」出会って2回目の女に30歳商社マンがサレた"酷い仕打ち"とは

—理性と本能—

どちらが信頼に値するのだろうか
理性に従いすぎるとつまらない、本能に振り回されれば破綻する…

順風満帆な人生を歩んできた一人の男が対照的な二人の女性の間で揺れ動く

男が抱える複雑な感情や様々な葛藤に答えは出るのだろうか…

◆これまであらすじ

絵に描いたような清純な婚約者・可奈子(25)がいるにも関わらず、魔性の女・真珠(26)に出会い本能的にキスしてしまう誠一。惹かれる思いと葛藤しているときに、バーで運命の再会をしてしまう・・・


▶前回:「あのキスが忘れられない」結婚直前に別の女に心を奪われた男の"最低な本音"とは


「運命」


ー運命を信じますか?

僕は、人生は天によって定められていると思っている。

この家に生まれたことから始まり、進学、就職、結婚、何もかも定めに従って生きてきた。

帰り道にふらりと立ち寄った『オークドア』で真珠(マシロ)と居合わせてしまったことは、運命ではなく、ただの偶然だと自分に言い聞かせている。

僕は可奈子と結婚する。それが僕の運命だから。

それにしても真珠は、人を惹きつけるオーラを持っている。

この薄暗いバーの中でも、髪も肌も目も笑顔も何もかもが輝いていて「あの美人は一体誰」と囁く声が聞こえてくる。

僕はあの夜、確かに真珠とキスをしたのだが、物理的にも心理的にも彼女は遠く離れた場所で輝いている。

とろけるようなキスをしたくせに、突き放してしまったのは僕の方。一瞬にして目の前から消えた真珠を追いかける勇気なんて僕にはない。

婚約者がいるのだ、そもそも真珠とどうにかなる資格すらないのだ。

これ以上凝視すると真珠と目が合ってしまう気がして、僕は咄嗟に視線を背けウイスキーを注文した。

ートントントン

肩を三回叩かれ、振り返ると冷んやりとした人差し指が僕の頬に突き刺さった。

「あ、引っかかった」

真珠が、僕の顔の近くで悪戯な笑みを浮かべていた。どうリアクションをとるのが正解なのか、僕にはわからなかった。

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