ヒマジョ Vol.6

「私がこの仕事してなくても、愛してくれる?」外出自粛で抜け殻となった女に、男の答えは…

2020年。今までの「当たり前」が、そうではなくなった。前触れもなく訪れた、これまでとは違う新しい生活様式。

仕事する場所が自宅になったり、パートナーとの関係が変わったり…。変わったものは、人それぞれだろう。

そして世の中が変化した結果―。現在東京には、時間が余って暇になってしまった女…通称“ヒマジョ”たちが溢れているという。

さて、今週登場するのはどんなヒマジョ…?

▶前回:男に大金を出させ、店を開いた美女。3カ月で閉業に追い込まれ、女の身体に異変が…


「ん〜♡ やっぱり美味しい。このメロンかき氷」

シャングリ・ラホテル東京の『ザ・ロビーラウンジ』

私は、メロンを凍らせて作った氷と、なめらかな杏仁アイスクリームをいっぺんに口へ運んだ。

先月の猛暑に比べたら過ごしやすくなったものの、体はいまだに冷たいものを欲している。

「茜って、もう誕生日きたんだっけ?」

「そう。もう32だよ〜、やんなっちゃう」

向かいに座り、私に尋ねてきたのは、新卒で入社した会社の同期の、絵里香だ。

彼女は今でもそこの精密機器メーカーで、経理の仕事をしている。

「仕事どう?コロナの影響受けてる?」

お酒が苦手な絵里香は、ジンジャーエールを飲みながら私に聞いた。

「うん、ものすごく」

私は、絵里香がいる会社を1年で辞め、スイスの高級時計ブランドで販売とマーケティングの経験を積んだ後、今の会社でラグジュアリーブランドのマネージャーという肩書を手に入れた。

仕事は、時にプライベートより楽しい。

顧客の付き添いとしてパリやミラノへ行くこともあるし、仕事の合間の観光は最高のリフレッシュになる。

日本未発売のものを買ったり、美味しい食事や心を潤す様々なワイン、溜まっていくマイルは、休みなしのハードな業務のご褒美だ。

それが、パタリとなくなってしまった今、私は何ヶ月も抜け殻のようだった。

影響を受けているかだなんて、そんなの当たり前なこと、どうして聞くんだろう。

ヨーロッパは、日本より感染者数が多い国もある。そうじゃなくても外国には行けない。そんなこと、ニュースを見ていればわかるはずだ。

「いいなぁ。絵理香の仕事は、コロナの影響なんて全然受けてないんじゃないの?」

言った後で、ちょっと無神経な発言だったかもしれないと後悔した。

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