2020.08.08
ヒマジョ Vol.1あれは今年の初め、ようやく大きなプロジェクトにアサインされた時のこと。
仕事が丁寧だとはよく言われてきたが、そのぶん要領が悪いのか、私は毎日夜遅くまで残業していた。
そんな時に唯一、気にかけてくれたのが優斗だった。
「あれ?今日も残業?」
帰る支度をしながらも、心配そうな優しい声で近寄ってくる優斗を、今でも鮮明に思い出せる。
「営業の方たちが勝ち取ってくれた契約だから、私も本気で取り組みたいんです!一番下っ端で、迷惑かけたくないですし」
優秀な人が多い職場で、足を引っ張りたくないという本音だった。
「でも、あのコンペに出した企画自体、アユミも制作に加わっていたよね?」
「それはそうなんですけどね。でも、私はたぶん他人より努力しないとダメなんですよ」
私はふたたび、PCに向き直る。それでも優斗は帰ろうとしなかった。
「とりあえず、今日はもう十分でしょ。スタミナのつく焼肉でも食べに行こうか!」
突然の誘いに驚く。だって入社してから、ずっと密かに憧れていた先輩だったから。
「あ、今の子はこういう誘い、迷惑か。ごめん」
「いえ、迷惑なんかじゃないです。連れてってください!」
この日から、私たちは一気に仲良くなった。
優斗に奥さんがいることを知ったのも、この時だ。
つまり優斗は、恋をしてはいけない対象。深い仲になることは許されない関係。
だけど、私は仕事仲間以上の感情を持ち始めてしまっていた。
最初は、後輩として可愛がってくれているのだ、と思うようにしていたが、それにも限界があった。
優斗からのマメなLINEは、「おはよう」から「おやすみ」まで続き、既婚者だということをまるで感じさせない。
憧れの先輩が、家族よりも私に時間を使っている。それを突き放すことなど、私にはできなかった。
でも、一線は決して越えない。
自分で決めた、絶対に破ってはいけないルール。
だから、キスされそうになる度に茶化し、家に行っていいか聞かれる度に理由をつけて断っていた。でも、日に日に気持ちは大きくなっていく。
ー優斗ともっと親密になりたい...
ルールなんか、無視してしまおうか。
ついにそんな考えが頭をよぎった頃、緊急事態宣言が発令された。そして、私の日常は一気に色を失ったのだ。
優斗と一緒に仕事したり、食事に行ったり、毎日のようにLINEしたり...そういうことで満たされていた生活が、ガラリと変わった。
朝起きてPCを立ち上げ、そこからは毎日同じことの繰り返し。
それでも平日はまだいい。仕事というこなすべきタスクがあるから。
問題は、土日だ。もともと趣味などほとんどなく、休みの日は美容院やネイル、マッサージといった自分メンテに時間を費やしていた。
だから、ずっと家にいてもやることがないのだ。
料理をしようにも一人分を作るのは、時に無駄だし、恋愛ドラマや映画も観る気分にならない。
唯一、最後まで観ることができたのは、一人の男が成り上がっていく韓国ドラマだけだった。
“始まらなくて良かった”って言うけど、よく言われる「どこからが浮気?」って話になると「致してしまったら」「気持ちが動いたら」「二人で出かけたら」等、人それぞれなので、“奥さん的にはエグい”けど、バレた時の慰謝料的には“一線を越えなくて”良かったね?…多分💧
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