必要ですか? Vol.4

収入を全て使ってしまう女医。ブランド品が散乱する部屋で、声を震わせた理由は

“思い出”はときに、“ガラクタ”に変わる。

ガラクタに満ちた部屋で、足を取られ、何度も何度もつまずいて、サヨナラを決意する。

捨てて、捨てて、まだ捨てて、ようやく手に入る幸せがある。


合言葉は、ひとつだけ。


「それ、あなたの明日に必要ですか?」



徳重雅矢は、お片づけのプロ。カリスマ整理収納アドバイザー。

“お片づけコンシェルジュ”を名乗る雅矢は、新人アシスタントの樋口美桜とともに、まるで魔法のように依頼人の部屋を片づけ、過去との決別を促し、新たな未来へ導いていく。

今回の依頼人は…綿貫冴子(42)。大学病院の最前線で働く内科医。

私生活は、バツイチ、独身、買い物依存症で…?

▶前回:「これまで、女性と縁がないんです」六本木タワマン在住の成功者の、切実な婚活事情


整理収納アドバイザーとしての雅矢の仕事は、多岐にわたる。

仕事の軸は、依頼人の家のお片づけだ。それ以外にもテレビや雑誌などのメディア出演。書籍の執筆。講演会。プロデュース商品の開発、宣伝。インテリアコーディネートに、時にはモデルの依頼など、売れっ子“お片づけコンシェルジュ”の毎日は多忙を極めている。

南青山にオフィスを持ち、マネージメントや経理を担当するスタッフはいるが、これまでアシスタントは募集していなかった。

その事実を知った美桜はニヤニヤと頬を緩めると、嬉しそうに声を弾ませる。

「私が、雅矢さんの一番弟子ってことですね」

オフィスに戻ったばかりで美桜のハイテンションな出迎えを受けた雅矢は、声の主をチラリと一瞥すると、やれやれといった様子で言葉を返した。

「独り立ちできるように、しっかり勉強してください。資格の勉強は進んでいますか?」

「はい。試験勉強は得意なんですよ。会計士試験、一発合格でしたから!」

「公認会計士兼、整理収納アドバイザーっていうのも良いかもしれませんね。どうぞ売れっ子になってください」

冗談とも本気ともつかないことを言いながら、雅矢は上着を脱ぎ、ソファーに腰を下ろした。気だるそうに足を投げ出し、ワイシャツの第一ボタンを開ける。

その姿が放つあまりの色気に、美桜は直視できなくなり慌てて目をそらすと、あいさつもそこそこにオフィスを飛び出した。

―ダメだ…。心臓が爆発しそう。

依頼人に向ける、ビジネス用の柔和な笑顔も美しい。しかし、それ以外の、自分だけが知っている雅矢の表情を見つけるたびに、美桜の胸は締め付けられるのだった。

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