必要ですか? Vol.3

「これまで、女性と縁がないんです」六本木タワマン在住の成功者の、切実な婚活事情

”思い出”はときに、”ガラクタ”に変わる。

ガラクタに満ちた部屋で、足を取られ、何度も何度もつまずいて、サヨナラを決意する。

捨てて、捨てて、まだ捨てて、ようやく手に入る幸せがある。


合言葉は、ひとつだけ。


「それ、あなたの明日に必要ですか?」



徳重雅矢は、お片づけのプロ。カリスマ整理収納アドバイザーだ。

今回の依頼人は…中島優作(35) ITベンチャー社長。

東大在学中に学生起業。大成功して富を築くという誰もが羨む経歴の持ち主だが、一切女性に縁がない。その理由とは…?

▶前回:美容整形で顔を変えた女。辛い過去と決別するために「婚約者に見せる」と決めた物とは


待ち合わせは、六本木『アマンド』。向かい合って座る2人の表情はあまりにも対照的だ。

晴れやかな笑顔を見せる美桜と、眉間に皺を寄せた雅矢の間に、大きなパフェが鎮座している。

「雅矢さんがスイーツ男子だったなんて、意外です」

雅矢はその言葉を聞いてじろりと美桜を睨むと、「悪いですか」と言いながらスプーンで生クリームをすくった。

「美桜さん、そんなことより…。会社…監査法人を辞めたってどういうことですか」

「どういうことって、そういうことです!これからは本腰を入れて雅矢さんのアシスタントとしてやっていくので、よろしくお願いします!」

美桜は、勢いよく告げると、ぺこりと頭を下げる。雅矢は無言で数口パフェを食べた後に、こう言った。

「あなた、公認会計士ですよね?安定した出世コースに乗り、華やかな未来が約束されていたはずなのに…」

「会計士の仕事なんて全然華やかじゃないですよ。めちゃくちゃ地味です」

「そういうことを言っているのではありません」

雅矢は今日何度目かのため息を吐くと、半ば諦めたように肩を落とした。

「雅矢さん、今日のお客様は華やかな方なんでしょうね。六本木のITベンチャーの社長ですよ。どんな方なんだろう」

別世界の住人のような依頼者に、美桜は胸を踊らせる。

しかし数十分後、美桜の期待は意外な裏切られ方をするのだった。

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