お試し夫婦 Vol.8

「私もう36歳なの、譲ってよ」突然押しかけてきた女に、“夫”がしたショックな行動

結婚相手を見つけるのは、決して容易なことではないだろう。

仮に運良く生涯のパートナーに出会えても、結婚生活が常に平和とは限らない。他人同士が夫婦になるのだから。

だけどもしも、AIがあなたにぴったりの相手を選んでくれたなら…?

ここは、2030年の東京。深刻化する少子化の打開策として、なんと政府は「お試し結婚制度」の導入をした。

3ヶ月間という期間限定で、見ず知らずの男と「お試し夫婦」生活を送ることになった真帆の運命は…?

◆これまでのあらすじ

お試し夫婦として暮らし始め、泊りがけの温泉デートで距離が縮まった真帆と健吾。しかし健吾に元カノから連絡があり…


健吾は元カノとまだ連絡を取っている。先日の様子でなんとなく、私はわかってしまった。

その時は追求しなかったのだが、モヤモヤとした気持ちのまま数日が過ぎた。考えなければ楽なのに、仕事中もふとした瞬間にそのことが頭をよぎる。

ーだめだめ。集中しよう!

コーヒーでも飲もうと席を立つと、後輩に呼び止められる。

「真帆先輩!受付から電話なんですけど、お客さん来てるみたいです」

「お客さん?誰だろう...」

スケジュールを確認するが、アポの予定はない。念のため名刺入れを片手に、エントランスに向かう。

すると私を待っていたのは、背中が空いたレモンイエローのワンピースに、グリッターのパンプスを履いた女性だった。

ー誰...?

記憶を辿ってみても、この人との接点は見当たらない。

「あなたが、柚木真帆さん?」

「そうです。失礼ですが...」

なんとなく嫌な予感がしていた。そして、その予感は当たってしまうこととなる。

「突然すみません。私、牧野唯香と言います」

ーユイカ・・・。

確か数日前、健吾に電話をかけてきた女性は、間違いなくこの名前だ。

まさか直接、私に会いに来るなんて。

速くなる鼓動をどうにか落ち着かせようと、ゆっくりと息を吸い吐き出す。

「どうして、私の勤務先がわかったんですか」

何の用かは聞かなくても、唯香の顔が物語っていた。

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