お試し夫婦 Vol.2

「このまま彼と結ばれるのかも・・・」女がそう期待した直後に、起こった悲劇

結婚相手を見つけるのは、決して容易なことではないだろう。

仮に運良く生涯のパートナーに出会えても、結婚生活が常に平和とは限らない。他人同士が夫婦になるのだから。

だけどもしも、AIがあなたにぴったりの相手を選んでくれたなら…?

ここは、2030年の東京。深刻化する少子化の打開策として、なんと政府は「お試し結婚制度」の導入をした。

3ヶ月間という期間限定で、見ず知らずの男と「お試し夫婦」生活を送ることになった真帆の運命は…?

◆これまでのあらすじ

柚木真帆(30)は、マンションの隣に住んでいた年下男子・フミヤに好意を寄せていたが玉砕し、「お試し結婚」を申請することにしたが…


私はリビングルームで、テーブルに置いた封筒をまじまじと見つめていた。

その封筒には、『お試し結婚のご案内-申請書等 在中-』と書かれている。

昨日のニュースで見た新制度の案内が、こうして自分宛に届くなんて、わかっていたことのはずなのになんだかまだピンとこない。

私は学生時代から彼氏が途切れたことがなく、しかも一度付き合うと長い。だから、結婚について悩んだこともなかったのに、まさかAIに相手を選んでもらうことになるとは。

『真帆とはこれからも一緒にいたいよ。だけどもう、家族としてしか見られない。それでも大丈夫?』

6年付き合った元彼と最後に食事した夜の会話を思い出し、心の中でこう呟いた。

ー大丈夫なわけないじゃん...

忘れもしない、12月の雨の日。

あの時も私は、今年のクリスマスこそはプロポーズされるだろうと勝手に期待し、しかし結局クリスマスを一緒に迎えることもなく、その1週間前に独りになった。

付き合った期間に比例するように、立ち直るのにはかなりの時間を要した。

そんな矢先、すっかり恋に臆病になっていた私の心に光を差してくれたのが、フミヤだ。温かくて優しくて、私にまた恋することの楽しさを思い出させてくれた。

だけどもう、その太陽は私を二度と照らさない。期待することは怖いことだとあの時知ったはずなのに、私はまた繰り返してしまったのだ。

でもきっとこれは、試練であり、チャンスなのだろう。

そんな風に思考を切り替えることにした。このタイミングで「お試し結婚」制度に参加できるのは、きっと何か意味があるのだと信じたい。

私は深呼吸をすると、ハサミで丁寧に封筒を開封した。

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