妻のベール Vol.10

夫婦円満だと思っていたのは、夫だけ…。妻が水面下で進めていた、とんでもない計画とは

結婚相手に経済的安定を求める女性は、多いと聞く。

結婚相手の職業人気ランキングを見ても、その通りと言えるだろう。

しかし中には、夢追う夫を信じ、支える“献身的な妻”というものもいる。

IT社長として成功した柳川 貴也(やながわ たかや)の妻・美香もそうだ。

一緒に貧しい時代を乗り越え、今でも夫の一番の理解者。彼女の支えがあったから成功出来たと言っても、過言ではない。

しかし、夫の思いとは裏腹に、財を手にした妻は豹変していく。欲望のままに。

◆これまでのあらすじ

家に帰った貴也は、偶然美香の手帳を目にしてしまう。衝撃的な内容を離婚弁護士に相談することにするが…。


「記録の一部ということですから、断言はできませんが…。DV、いわゆる家庭内暴力の記録のように見受けられますね」

貴也がスマホに収めた美香のメモを見て、弁護士は疑いの目を貴也に向けた。

「えっ…」

貴也は頭が混乱する。当然、身に覚えのない出来事だったからだ。

−家庭内暴力…? いったい何の話だ?

家庭内暴力。当たり前だが、そういったことに悩んでいる家庭が存在していることも知っているし、その言葉はニュースなどで何回も目にしている。

だが、法律の専門家である弁護士が自分に向けてその言葉を発しているとなると、ニュースで聞くのとは全く違う重さを感じる。

頭の中で、記憶を必死で呼び起こすが、美香と過ごした日々の中で、彼女に暴力を振るったことなど絶対にないはずだ。

弁護士からスマホを返してもらった貴也は、改めて写真を見た。メモ帳の日付の横に書いてあるのが、おそらく“彼女がされたこと”なのだろう。

しかし、貴也は首を横に振った。

「いや、これは…覚えがないです。全く」

そう呟くほかなかった。

美香とは …。こんなことを自分でいうのも気恥ずかしいが、あの下着を見つけるまでは順風満帆の夫婦生活を送っていたのだ。

【妻のベール】の記事一覧

もどる
すすむ

おすすめ記事

もどる
すすむ

東京カレンダーショッピング

もどる
すすむ

ロングヒット記事

もどる
すすむ
Appstore logo Googleplay logo