ひも結び Vol.2

ダメ男にお小遣いを与え続けるアラサー女子。働かない男に対しての本心は

心の安らぎのため、人は愛を求める。

しかし、いびつな愛には…対価が必要なのだ。

―どこへも行かないで。私が、守ってあげるから。

これは、働かない男に心を奪われてしまった、1人の女の物語。

◆これまでのあらすじ

IT企業で働く31歳の川辺望美は、大の男嫌い。会社の後輩である凛とは、飼っている猫・ヒデの話で盛り上がっていたものの、自宅で望美を待つ「ヒデ」は猫ではなく、無職の美男子なのだった


「望美さん。のーぞーみさーん。いい加減起きようよ〜」

1LDKのキッチンから、呆れたようなヒデの声が響く。

「うう…ん、もうそんな時間…?」

土曜日の午前10時半。とてつもなく朝に弱い望美は、休日となれば何時まででも眠れてしまう。ヒデの呼びかけに、まるで寝言の延長のような生返事をすると、望美は再び夢の世界へと戻るために布団の中に潜り直した。

だが、望美が眠りに落ちていくことを禁じるように、ふいにダブルベッドの端がギシリと軋む。ヒデが腰かけたのだ。ウトウトとする望美の、枕の上で乱れた髪が、長く細い指によって緩やかに解きほぐされる。

「まったく、望美さんはしょうがないなぁ…」

望美の様子を見に1LDKの寝室へと訪れたヒデは、繊細なレース細工を扱うようにひとしきり望美の髪に触れると、おもむろに布団へ潜り込み望美のその体を強く抱きしめる。

「ちょっと、ヒデ…。だめ。歯も磨いてないんだから…」

「べつにいいよ」

無精髭の中の薄い唇が、差し込む陽の中で望美の首筋に近づいていった。

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