天秤女~恋は同時進行で~ Vol.8

「いい加減、他の男とは別れろよ」。相性バツグンの男から、女が決断を迫られた夜

倫理的には許されない、複数交際。

―私だけは完璧な天秤恋愛ができる。

彩菜は昨夜のクリスマスイブまでそう思っていた。だって「結婚相手を選ぶため」という大義名分があるのだから。

目的を果たすためだけに、冷静沈着に事を進めればよい。そう割り切っている自分は、抜かりなくミッションをこなせるはずと確信していたのだ。

じっくりと時間をかけて見極めるはずの計画だったが、彩菜の気持ちには、自分でも予想外の変化が起こり始めていた。

一人目の彼氏・直人は、経済力はあるけどつまらない。二人目の男・蓮には、ときめきは感じるけれど、一緒にいるとただただ疲れる。

しかし、三人目の大輝は別だ。

これまで無意識に“友人枠”だった彼を、異性として意識した途端、あらゆる事柄が相性抜群であることに気づいた。会話も弾むし、緊張もない。いつもリラックスしていられる。

何より彩菜は、大輝といる自分が好きだった。

24日と25日、クリスマスデートのチャンスは2回だけ。それなのに彩菜の男は3人いる。あらゆる言い訳を使って、完璧な時間配分でどうにかクリスマスを乗り切ろうとした自分が、今となってはアホらしく感じる。

―大輝の一択でいいじゃん。

そう思ったものの、まだ結論を出すには早すぎる気がして踏み切れない。天秤恋愛をスタートしたときに、きちんと時間をかけて3人と向き合い、ベストな答えを見つけると誓ったのだ。

単なる交際なら良いが、結婚、つまり人生がかかっている。さすがにたった数ヶ月で決めてしまうのは、時期尚早かもしれない。

ーでも今は、できるだけ大輝と一緒にいたいし…。

彩菜は葛藤していた。だが今のNo.1は、まぎれもなく大輝だ。冬休みだって、できるかぎり大輝と過ごしたい。

「よし、決めた!」

まずは蓮に30日のデートをやんわり断ろうと決意し、ランチに臨むことにした。

ところが、そう簡単には事は運ばなかった。


はじめはランチをしながら、仕事の話をしていた。だがふとした瞬間に、蓮はふうっと息を吐く。

「仕事の話は、これぐらいにして…。今日は与田さんに聞いてほしい話があるんです」

彩菜は身構えた。目を伏せた蓮の憂いのある表情に、ドキリとする。その瞬間だけは大輝のことを忘れ、何かを期......


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