別れ、のち晴れ Vol.2

「どうして、こんな突然…?」男が、付き合って1ヶ月未満の女をフッた本当の理由

これまでの担当者は、尊人たちをクライアントだと意識しすぎているせいか、どうも波長が合わなかった。しかし結衣は、尊人が目指したい方向を的確に捉え、最善の案を提示してくれた。

結衣の発言を受けて、尊人自身が気付かされることも多くあり、顔がタイプであるということを差し引いても、仕事のパートナーとして尊敬するばかり。

結衣からメールが返ってくるたび、電話がかかってくるたび、ミーティングで顔を合わせるたび、募っていく彼女への気持ちを必死で抑え、仕事に打ち込んだ。

結果、プロジェクトは大成功した。

これまで苦戦していた若い世代へのアプローチがうまくいき、社内でもすぐに尊人の存在が噂されるようになった。

今回のプロジェクトを通して実績とともに自信を得始めた尊人は、ついに結衣に告白をすることを決意。打ち上げを口実に結衣を食事に誘った。

学生時代からこれまで、何人かと付き合ったことがある尊人だが、どうもうまくいった試しがない。

しかし結衣には、運命のようなものを感じていた。

容姿はもちろんのこと、そのはっきりとした聡明な性格に何より心を惹かれていたのだ。

尊人自身がはっきりとものを言うタイプだからか、好かれる女性は一様に子どもっぽく、甘ったるく感じてしまう。だが実は、女性から頼られるのがどうも苦手なのだ。



打ち上げとこじつけたデートでの告白は成功し、尊人と結衣は付き合うことになった。


付き合って初めてのデートでも結衣のそんな大人びた様子は変わらず、尊人は結衣に対し、好きという気持ちと尊敬の気持ちの両方を抱いていた。

しかし何度か食事やデートを重ねていくと、結衣は少しずつ、尊人に素の表情を見せるようになった。もちろんそれは嬉しいことなのだが、結衣の心が開き始めるのに比例して、うっすらとした違和感を感じ始めてきた。

「今月も予算達成したんだ…!ほめてほめて」
「尊人くん、しっかりしてて頼れるなあ」

結衣の甘い声を、尊人は気づかないふりをしていた。

そんな騙し騙し過ごす日々が続き、付き合って3週間ほど経った頃の仕事終わりの夜、二人は結衣の家で時間を過ごしていた。

「今日はすごく疲れちゃったなあ」

結衣はそう言うと、尊人に体を寄せ体重を預けた。その重みを感じながら、心の奥にひっそり閉じ込めていたはずの違和感が急に湧きあがってきた。

「私さ、本当は結構甘えたいタイプなんだよね。尊人くんには素の部分を出せる。嬉しいなあ」

その言葉を聞いた瞬間、今まで抱いていた気持ちが抑えきれなくなってしまった。

「…ごめん、今日はもう帰るね。ちょっと仕事思い出して」

尊人自身も気持ちの変化に戸惑っていたが、「これはもう終わりかもしれない」と自覚した。



翌日、仕事終わりに結衣をカフェに呼び出した。

「結衣さん、ごめんなさい。別れてほしいです」

そう口にした途端、結衣の顔が引き攣ったのがわかった。

「どうして、こんな突然……?」

予想通りの質問が返ってくる。尊人は覚悟を決めて、口を開いた。

この記事へのコメント

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No Name
僕のこと、栽培して欲しい男子ね。キレイなお姉さんにお世話して貰って、育てて欲しかったのね。サイテー!
2019/12/30 05:2599+返信5件
No Name
最悪!ロクでもない男!
2019/12/30 05:3499+返信2件
No Name
お子ちゃまだったんだな❗

もっと大きい爆弾を秘めていると思ったけど・・・
2019/12/30 05:3799+
No Name
わ、こんな馬鹿な男いるんだ。
有閑マダムにでも飼って貰えばいいのに。

でも結衣は自分を見直すキッカケになって良かったよね。絶対に結衣をわかってくれる人が現れる!
2019/12/30 05:5098返信1件
No Name
わー別れて正解!次!次!ファイト!
2019/12/30 05:3891
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