「なに〜?そんなに意外かなぁ。経営者なんて、割とこんなものなんだよ」
「そう…いうものなんですか…。内田社長と百々子さんって、いつもすごく仲がいいから…。そんな悩みがあるなんて、全く考えてもみませんでした…」
「まぁ、悩みっていうほどでもないけどね」
百々子が身を置いている、想像を絶する状況。それを聞かされたばかりの美希は、ほとんど放心状態になってしまう。
「えーと、つまり…。今のご主人である内田社長は、女癖が悪くて不倫してるかもしれない…。そんな時に、百々子さんが住んでる二子玉川のマンションに、昔百々子さんが結婚していた元旦那さん家族が住みはじめた…。さらに、同じマンションに住んでる家族ぐるみの付き合いをしている富澤さんたちと、元旦那さんの家族も面識ができてしまって…」
整理しようとすればするほど、頭がクラクラしてくる。もはや言葉が出てこない美希を見て、百々子は寂しげに笑った。
「事情がない家族なんてない…ってことだよね。あーあ、なんだか嫌になってきちゃう」
そう言って穏やかに微笑みを湛える百々子の表情に、美希はふいに薄ら寒いものを感じる。
少し無理をしているような、のっぺりと張り付いたような百々子の笑顔。
そうだ、この顔は…。
―2年前の、私の顔と同じだ。
大切なものを守りたい。その一心で自分を偽り、「家族ぐるみの付き合い」に悩まされた2年前の地獄のような日々を、美希は思い出す。
”夫の友人”というだけの繋がりでさえ、あれほど苦しかったのだ。同じマンションの中で複雑な人間関係に悩まされるなんて、比べ物にならないだろう。
百々子のこれからに思いを馳せながら、美希はゴクリと唾を飲み下す。
決して逃れることができない、「家族ぐるみ」という底なし沼。
果たして彼女は、浮かび上がることができるのだろうかー。
百々子の「家族ぐるみ」の続きは「彼らを見ればわかること」をご覧ください!
ドラマ「彼らを見ればわかること」が1月11日(土)WOWOWにてスタート!
二子玉川の同じマンションに住む、百々子を含む3人の女性と、その3つの家族。それぞれが抱える事情と欲望が入り乱れるドラマ「彼らを見ればわかること」。その内容はこちら!
このマンションで起こる「事件」の数々は、あなたにも起こりうる…もしかしたら既に起こっているかもしれない。
日本における離婚率は今や30%。 反面、離婚経験者の再婚率は増加傾向にあるともいわれる。多様な家族のあり方が生まれ、今や「家族」という言葉の持つ意味すらも変化してきている現代社会の、家族像をリアルに投影した本作。
3つの家族を通して見えてくる、人生や家族の新しい意味とは?このドラマを観る人は、時には笑い、時には共感しながら家族の「秘密」をのぞき見ることになる――。
【第1話無料放送!】毎週土曜 夜10時放送(全8話)
<ストーリー>
二子玉川に立つおしゃれなマンション。その最上階に住む内田百々子(中山美穂)は、官能作品で人気を誇るレディコミ漫画家であり、再婚相手・ 櫂斗(生瀬勝久)と大学生の息子を家族に持つ母でもある。
同じマンションには富澤瑞希(木村多江)と一太(上地雄輔)の5人家族も住んでいて、 同い年で友人となった百々子と瑞希は、なじみのダイニングバーでストレス解消も兼ねた近況報告を繰り広げる日々。
そんなある日、マンションに新婚の夫婦が引っ越してくる。それは、20年前に百々子と別れた前の夫・鴨居葉介(長野博)と、その新妻の流美(大島優子)だった。元夫婦がそれぞれ再婚し、隣人同士となった珍しい状況。
さらに、この新婚夫婦の引っ越しによって、百々子や瑞希が抱えてい た“秘密”があぶり出されていくことになる。そして3人の妻たち、3つの家族の関係は単なるご近所付き合いでは済まされない様相を呈していく ――。
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