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  • 大人の恋の行方 Vol.3

    「彼女じゃなきゃダメだ」エリート商社マンがどうしても諦められない、5年越しの恋の結末とは

    交渉は決裂、まさかの異動・・・?


    「今日の昼飯、外に行かないか?」

    翌週、太一は神田に誘われた。

    神田は普段、ランチを社員食堂で取るため、外に出かけるなんて滅多にない。敢えて外に誘うとは、何か特別な事情があるのだと察する。

    ―まずい…。異動させられるのかな。

    結局あの後、ベトナムとの交渉は決裂してしまった。チームリーダーとしての責任を感じていた太一は、他部署への異動も覚悟していた。

    ランチへ向かう前に、太一はスーツの内ポケットに『賢者の食卓』をふと忍ばせる。

    綾子が自分の体を気遣って渡してくれた『賢者の食卓』。祈るような気持ちで店までの道を歩きながら、太一はふと綾子のことを想った。

    綾子と出会ったのは、とあるM&Aの案件だ。契約書の作成や締結のサポートなど、法的な手続きの担当として、弁護士である彼女が出てきたのだ。

    可憐な見た目とは裏腹に、ガッツのある仕事ぶりには驚かされた。

    控えめながらも、思ったことはハッキリと言う。周囲が逃げ腰になっても、毅然とした態度で臨む芯の強さ。

    気づけば、彼女の魅力にはまっていたのだ。

    その後駐在をきっかけに別れてしまったが、再会してから改めて好きだと実感した。デートをしていた子もいたが、やはり綾子のような芯のある女性に側にいて欲しい、そう思うようになったのだ。

    綾子が、いまの僕の状況だったらどうするんだろう。そんなことを考えながら、レストランのドアを開けた。



    店に着き、初めは仕事以外の雑談を軽くした。

    そして太一は、スープが運ばれてくると『賢者の食卓』を入れる。すると神田は、不思議そうな顔をして「それは何だ?」と聞いてきた。


    「これ、特定保健用食品なんですけど、最近経営者層やキャリア女性の間で話題みたいです」

    食事のときに一緒に飲むと、食後の血糖値や血中の中性脂肪の上昇を穏やかにしてくれる効果があることを説明する。

    「出張や会食が多い僕たちのようなビジネスマンにもオススメと聞いて、毎食飲むようにしているんです」

    すると神田は、「それは詳しく聞きたい」と、興味津々の様子で身を乗り出してきた。

    「実はね、僕も最近健康診断の結果が要経過観察ばかりになってきてさ…。妻にも、外食はほどほどにしなさいって言われてるんだ。とはいえ、会食も仕事の一部でもあるし難しいよな」

    「そうですよね。僕も最近、これを摂り始めてから食事や運動にも気を遣うようになりましたよ」

    盛り上がってきたところで、太一は意を決してベトナムとの交渉の件について切り出した。

    「ところで…、先日のベトナムの会社との交渉の件、決裂させてしまって申し訳ありませんでした」

    「その話なんだが…」

    太一の心臓は、ドクンと大きく音を立てた。

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