2015.07.06
そば通たちは、春蒔きそばを楽しみにしているって知っていました?
通常、8月に種をまいて晩秋に収穫するのがそばの主流ですが、春に種をまき、夏の需要期前に出荷する「春蒔きそば」は、いままさにシーズン。
香りは秋そばを凌駕するともいう夏の新そば、食べられる時期も短いので、行くなら今!
『手打そば 菊谷』
春蒔きで味わう秩父在来種の個性
店主の菊谷修氏はそば好きが高じて店を持った脱サラ組。農家から直接仕入れを行い、時に十割、時にブレンドと気分に応じて、提供する産地や製法を変える。
修業先は埼玉秩父の「手打そばこいけ」。秩父は全国でも珍しく、春と秋の二期作を行っている。7月下旬に秩父の在来種と埼玉・三芳のキタワセが入荷するほか、熟成させた春蒔きそばもストック。店主が推す秩父産は「在来種ならではの個性的な味が魅力」と語る。
そばへの愛と確かな技。その柔軟な姿勢で、そば通を魅了し続けている。
『一東菴』
手碾きで味わう爽快な春蒔きそば
静寂を絵に描いたような佇まい。コンクリートと木のコントラストや柔らかな灯りに心が解れる。
「大切なのはそばを楽しむこと。生産者の顔が見えるそばを打っていきたい」と店主の吉川邦雄氏。信頼関係を重んじ、想いを熟知した生産者のみから玄そばを仕入れる。
春蒔きそばが店頭に並ぶのは7月中旬。「爽快感のある味。スッキリとした味を楽しんで欲しい」と、埼玉・三芳の夏そばと茨城・三和の春そばを予定。端整な十割もいいが、こちらでは粗々しい「手碾きせいろ」で頂きたい。
『しらかめ』
日本一早い「春のいぶき」を十割そばで
賑やかな経堂の通りから一本入ったところにひっそりと佇む「しらかめ」。店に入ると左手にカウンター、所々には女将の文(あや)さんが描いた油絵が目に止まる。
広沢夫婦+母で営むこちらで楽しめるのは、自家製粉の十割そば。福井産や富山産が主だが6月半ば頃には“日本一早い新そば”である熊本の「春のいぶき」が登場。
「しっかり濃厚でワイルド。温室育ちのいちごじゃなくて、野いちごのようなひとクセある味です」と店主。そば前と日本酒で一杯。ほろ酔いで食べる春蒔きは格別也。
『自家製粉 手打十割そば志美津や』
微粉と粗挽きで味わう春蒔き
狛江の住宅地に佇む、創業50年の老舗。もともとは出前中心だったが現店主の二代目が自家製粉に舵を切り、2000年にリニューアルを果たした。
茨城や長野、新潟などの農家から直接玄そばを仕入れ、十割、粗挽き、田舎、さらしな生一本で提供。7月初旬には、「あかぎ深山ファーム」の夏そばが入荷する。
「10割の微粉と、粗挽きを楽しめる『2種盛り』で味の違いを楽しんで欲しい」と店主。7月には夏期限定の人気メニュー「くるみせいろ」などの冷やしそばも登場。こちらも是非試してみたい。
※本記事に掲載されている価格は、原則として消費税抜きの表示であり、記事配信時点でのものです。
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